新型コロナウイルスワクチンの4月の供給量が政府の当初の想定より少ない見通しになったことを受け、住民接種についての実施計画を見直したり、いったん中止したりする自治体が増えている。接種スケジュールと、ワクチンの供給量がなかなか定まらないため、各自治体の担当者は「いつ、どれだけの量が来るのかが分からないと、いつまでも計画が固まらない」と困惑している。
政府は1月下旬、65歳以上の高齢者(約3600万人)への優先接種が早くとも4月1日以降になる見通しを示し、自治体に対して接種期間や会場などを定めた実施計画を策定するよう求めていた。ところが、新型コロナワクチンの供給逼迫(ひっぱく)を受け、2月下旬、高齢者への優先接種について4月中は供給量を絞って進める方針を発表。高齢者への優先接種を4月12日から開始するが、最初の発送は全国で約5万人分にとどまるなど、4月に各自治体に配られるワクチン量はごくわずかとなった。また、高齢者への優先接種の開始が遅れれば、その後に続く64歳以下の住民への接種にも影響しかねない。
東京都足立区では2月下旬、小学校の体育館など約40会場を利用した集団接種をメインにし、4月中旬から9月下旬までに毎週2万回の接種を行う予定で計画を立てていた。4月のワクチン供給量のめどが立たないため、計画はいったん中止することを検討。同区の担当者は「医療従事者と会場を確保して準備していたのに、肝心のワクチンが届かない。集団接種を行うには少ない量で配分されても対応できず、4月中の接種開始は中止を検討せざるを得ない」とため息をつく。また、64歳以下の住民接種についても、4月下旬に接種券を発送し、7月上旬から集団接種を開始する予定だったが、いずれも中止になる可能性があるという。
愛知県岡崎市も2月24日に公表した計画を、公表から約1週間で修正せざるを得なくなった。4月からかかりつけ医での個別接種と集団接種を併用し、高齢者への接種を開始する予定だったが、4月に同市に届くのは、65歳以上の高齢者の約1%にしか当たらない2箱分(約1000人分)だけ。そのため高齢者施設の入所者を優先的に接種するよう計画を変更。4月の集団接種会場として予約していた3カ所の市施設はキャンセルした。さらに4月下旬に送付予定だった64歳以下向けの接種券を1カ月遅らせることを決定。当初は10月をめどに全住民の接種を終わらせる予定だったが、供給量によっては終了時期が延びる可能性も出てきた。同市担当者は「供給量によって会場や人員の手配が変わる。国には5月以降の見通しを早く示してほしい」と訴える。
堺市は5日、接種計画の見直しを発表。高齢者を5月から、高齢者以外を7月からと、それぞれ当初の予定から1カ月程度遅らせた。同市担当者は「ワクチンが十分に供給されることを前提に計画を立てていたが、前提が崩れた。今後も供給量により見直しが発生する可能性がある」と話した。
聖マリアンナ医大の国島広之教授(感染症学)は「国は3カ月で高齢者接種を完了させるなどの方針を示しているが、自治体によって医療資源の多寡は異なる。自治体が国に振り回されず、接種スケジュールを決められるようにすることが重要だ」と話した。【石田奈津子】
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