欧州連合(EU)は26日、新型コロナウイルスのワクチンを開発・製造している英アストラゼネカを提訴した。
EUの行政を担う欧州委員会は、アストラゼネカがワクチン供給契約を守らず、スケジュール通りの供給を保証する「信頼できる」計画を持っていないため、法的措置に踏み切ったと説明した。
アストラゼネカは、EUの動きには「メリットがない」と述べ、「法廷で強く対抗する」と話した。
EUとアストラゼネカの間ではワクチン供給をめぐるいさかいが続いていたが、今回の提訴でさらに加速した格好だ。
EU加盟国からは、アストラゼネカがイギリスを優遇しているとの主張も出ているが、同社はこれを否定している。
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欧州委の報道官によると、EUは全加盟27カ国の支持を得て、23日に法的措置を開始した。
欧州委は昨年8月、ワクチン3億回分の供給契約をアストラゼネカと結んだ。これには、1億回分の追加オプションも付いていた。
しかし今年に入り、アストラゼネカは製造に問題が出たため、供給を縮小すると発表。1~3月には8000万回分が納入される予定だったが、実際に送られてきたのはわずか3000万回分だった。
欧州委はまた、アストラゼネカは第2四半期(4~6月)に1億8000万回分を供給する予定のところ、実際には7000万回分にとどまる見込みだと述べた。
「契約の内容やその一部が尊重されていない。我々は契約の原則にもとづき(中略)十分な量のワクチンが迅速に供給されることを確かめたい」
欧州委のステラ・キリアキデス保健衛生・食品安全担当委員はツイッターで、同委の最優先事項は「EUの保健状態を守るため、COVID-19ワクチンの供給を確保する」ことだと強調。「ワクチンは1回分でも重要で、その1回分が命を救っている」と述べた。
EUとの契約に「完全に従っている」
アストラゼネカは法的措置を受けて声明を発表し、EUとの契約には「完全に従っており」、早急にこの紛争を収めたいと述べた。
「前例のない科学的発見や複雑な交渉、製造上の困難に見舞われた昨年を経て、私たちは4月末までに5000万回分近くのワクチンを欧州各国に届けようとしている。これは私たちの予想に沿っている」
また、「技術的困難の解決は進んでおり、結果も改善しているが、ワクチンの製造サイクルはとても長く、完成品の増産までには時間がかかる」としている。
EUとアストラゼネカの契約では、両者間の紛争はベルギーの裁判所で扱われることになっている。
EUは当初、アストラゼネカ製ワクチンを中心にワクチン接種事業を進める予定だったが、供給遅延を受けて、現在は米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンに切り替えている。
それでも、EUは夏までに「成人の少なくとも70%」に最低1回のワクチンを投与する目標を掲げている。
欧州の感染状況は?
欧州の一部の国では、感染抑制のための制限が緩和され始めている。
フランスでは3週間の学校閉鎖を経て、幼稚園や小学校が再開された。イタリアでも、大半の地域でレストランやバーが屋外営業を再開。ベルギーでは美容院の営業も許可された。
一方、スペイン北部パンプローナでは、7月に開催される伝統の「牛追い祭り」が2年連続で中止となった。
からの記事と詳細 ( EUがアストラゼネカを提訴 ワクチンの供給遅延めぐり - BBCニュース )
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