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Sunday, May 30, 2021

電力不足予想 供給増やす効果的な対策を - 読売新聞

 この夏、電力の需給が逼迫ひっぱくすると予想されている。暮らしを支える電気が不足しないよう、政府は備えに最善を尽くさねばならない。

 経済産業省の需給見通しによると、電力供給にどれだけ余裕があるかを表す「予備率」は、7~8月に北海道、沖縄を除く多くの地域で3%台にとどまるという。

 予備率は8%が安定供給の目安とされ、最低3%の確保が必須だとされる。経産省は「ここ数年で最も厳しい」としている。

 今年3月の時点で、全国の電力供給を調整する機関が平年並みの気候を基に、東京電力管内で7月に7・5%になるなどと予測していたが、今回の試算は10年に1度の猛暑を前提としたため、より低い3%台となった。

 深刻な事態を想定して、対策を講じるのは当然だ。

 電気は需要が供給を上回ると大規模停電のリスクがある。政府は国民に冷房を普段通り使い、無理のない範囲で省エネに協力するよう呼びかけている。予備率が3%を下回りそうな場合は、警報を出して節電要請する方針だ。

 政府は早期に判断し、具体的な節電方法などの情報を分かりやすく国民に伝えてもらいたい。

 電力不足は、火力発電所の相次ぐ休廃止が原因だ。大手電力の火力発電所は全国に約160か所あるが、昨夏に動いていた10基が老朽化などで休廃止となり、3基が設備損傷で停止している。

 電力自由化で競争が激しくなり、各社が経営の余力を失って、採算性の低い発電所を維持できなくなっている面もある。

 今後は脱炭素に向け、温室効果ガスを多く出す石炭火力を減らさざるを得ない。液化天然ガスによる火力も二酸化炭素を排出することに変わりはないため、各社は火力に大規模投資をしにくい。

 太陽光など再生可能エネルギーによる発電の割合は現在18%で、拡大する必要があるが、太陽光発電は天候に左右され、供給を不安定にする一因となっている。

 電力各社は当面の策として、設備の補修時期をずらすなどして火力の発電量を上積みするとしているが、持続可能とは言い難い。

 出力が安定している原子力発電の利用が有力な選択肢だ。自民党の調査会は原発の活用を求める提言をまとめた。最新の小型炉の開発を要請する声も党内にある。国民に原発の必要性を説き、理解を得るのは政治の責任である。

 政府・与党は、原発の再稼働を強く後押しするべきだ。

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