東京電力ホールディングスの送配電子会社、東京電力パワーグリッド(PG)が6日午後から7日午前にかけて他の電力会社から電力融通を受けた。強い冷え込みで暖房需要が増えた一方、降雪を伴う悪天候で太陽光発電の出力が下がり、電力需給が逼迫(ひっぱく)した。発電量の不安定な太陽光や風力などの再生可能エネルギーを導入し脱炭素を進める中で、電力の安定供給をどう確保するかが問われる。
東電PGは6日午後1時半~午後8時に最大192万キロワットの応援を得た。さらに6日午後8時~7日午前0時に最大276万キロワット、7日午前0時~午前9時に最大274万キロワットを調達。ほぼ一昼夜融通を受けた。
東電管内では今冬の安定供給に向け、東電と中部電力が折半出資するJERA(ジェラ)が長期停止していた姉崎火力発電所5号機(千葉県)を今月4日に再稼働し、供給力の戦列に加えた。6日は管内の発電所で予期しない運転停止もなかった。それでも電力の供給力に対する消費量の割合を示す使用率は6日午後3時台に97%に達し、「非常に厳しい」を示した。
「どこか1カ所(の発電所)でも不具合が起きれば本当に停電が起きてしまうという状況だった」。萩生田光一経済産業相は7日の記者会見でこう述べた。
政府は脱炭素社会の実現に向け、太陽光や風力などの再生エネを主力電源化して最大限の導入を促す方針だ。ただ、再生エネは発電量が季節や天候に左右されコントロールが難しい。
東電管内でも太陽光は着実に存在感を高めている。日照量の少ない冬でも条件が良ければ、原子力発電所約10基分の出力に相当する1千万キロワット程度の発電がある日中の時間帯もある。
脱炭素の潮流が加速する中で、電力の高需要期である冬や夏の安定供給に支障が生じないよう対応力を高めることが求められる。
横浜国立大学大学院の辻隆男准教授(電力系統工学)は「将来に向け、カーボンニュートラルに整合的で、同時に安定供給に資する電源にしっかりと投資が進むことが重要。そうした取り組みを支える制度の設計が急務だ」と指摘。送配電制度に詳しい電力中央研究所社会経済研究所の古沢健上席研究員は「脱炭素と安定供給の両立には決定的な解決策があるわけではなく、さまざまな対策の総動員が不可欠だ」と話す。(森田晶宏)
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