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Monday, April 11, 2022

ロシア、高級品の急騰顕著 供給停止や通貨安で(写真=AP) - 日本経済新聞

欧米が経済制裁を強めるロシアで、自動車や情報機器など高級品の価格が高騰している。ロシアによるウクライナ侵攻後に外資系企業の供給停止が相次ぎ、ルーブルの低迷も輸入品の価格上昇に拍車をかける。生活必需品を含めた物不足も長期化しており、2022年のロシアのインフレ率は15%を超えるとの見方が出ている。

価格上昇が顕著なのが自動車だ。ロシアで各社の生産停止の動きが相次いだほか、侵攻後の3月に進んだルーブル安の影響もあり価格が急騰した。ロシア紙コメルサントは今月上旬、ロシアでの新車販売価格は3月に平均40%上昇したと伝えた。

ドイツのメルセデス・ベンツなど高価格帯の車の上昇が目立ったといい、「上位機種で平均50~60%上昇した」(ディーラー)という。従来から外資系メーカー製の自動車は高収入層に人気だった。為替レートが不安定で価格を頻繁に改定する必要があるため、価格表を削除した販売業者が増えている。

中古車の需給も逼迫している。ロシアの自動車情報サイトによると、侵攻後の2週間ほどで中古のメルセデス・ベンツの平均価格は3割以上上昇し450万ルーブル(約660万円)を上回ったほか、BMWも3割超上がった。トヨタ自動車日産自動車の平均価格も2割以上上昇した。

国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシア排除が進み、代金を決済できなくなる恐れなどから、ロシアが大口の輸入先である日本の中古車業者への注文が落ち込んだ。このため、日本国内では輸出が減少した中古車の価格が下落している。

中国や韓国などアジア製のスマートフォンなど、海外メーカー製が主力の情報家電も経済制裁の影響で上昇している。高価格帯に属する米アップルのスマートフォン「iPhone」の通販サイトの価格は侵攻前から2週間で最大で34%高と急騰した。アップル製品はデザイナーや技術者に人気で、同社製のノートパソコンでは一時ウクライナ侵攻前比で2倍以上に価格が上昇した製品もあった。ロシア通信などが伝えた。

不安定なルーブル相場の動向を懸念して、富裕層を中心に宝飾品など換金価値の高い商品を求める動きも出ている。ロシアの金融機関は3月下旬、価格が25万ルーブルを超える宝飾品の需要が増し、金やダイヤモンドの購入が活発になっているとの調査結果を公表した。

物価高は庶民の生活にも波及し、生活必需品の品不足が目立つ。ロシア連邦統計局によると、3月下旬には週単位で洗剤の価格が4~5%上昇した。海外大手メーカーの値上げ発表なども影響しているとみられる。

砂糖など食品の価格の上昇に歯止めがかからないため、販売制限を設ける小売店も出始めている。シベリア地域のノボシビルスクでは砂糖の価格が3月に約42%上昇したほか、ジャガイモなども1割以上上昇したという。

ロシア国内のインフレ加速は統計上も鮮明だ。ロシア経済発展省は3月30日、25日時点の年間インフレ率は前年末比15.66%になるとの見通しを公表した。ロシア中央銀行は3月に22年のインフレ率が20%に達するとのアナリスト調査の結果を公表している。

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