【シンガポール=森浩】タイが導入を決めた中国製潜水艦の建造が頓挫している。受注した中国企業に対して、ドイツ企業がエンジンの供給を拒否し、建造が進まないためだ。自国初の潜水艦として期待を寄せていたタイのプラユット政権は契約破棄を視野に入れており、軍備を通じて緊密化していた中タイ間の火種となりそうだ。
タイ海軍は2017年、中国企業「中国船舶重工国際貿易」(CSOC)と、中国軍の「元型」潜水艦1隻を135億バーツ(約500億円)で購入する契約を締結した。この際、ドイツ製エンジンを搭載することが合意条件になっており、来年末までに引き渡される予定だった。
ところが、ドイツ側がエンジン供給を拒んだことで建造が中断した。欧州連合(EU)が1989年の天安門事件以降、中国への軍事品販売を禁止する措置を取っているためだ。
米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)によると、エンジンなどは民生にも軍事にも利用できる「デュアルユース」品目のため、民生用とすれば抜け道として輸出が可能だという。しかし今回は潜水艦での利用が明確なため、ドイツ政府が輸出を認めなかったとみられる。
プラユット首相は4日、「エンジンのない潜水艦をなぜ買わなければならないのか」と不満を示し、契約破棄を示唆した。中国は中古潜水艦や中国製エンジンの提供を打診しているが、「中国製はパワーと信頼性で及ばない」(VOA)ため、タイ側は受け入れるつもりはないという。
タイ国内では巨額を投じた潜水艦購入に反対意見があっただけに、今回の問題はプラユット政権への反発につながる可能性もある。
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