■調査結果のポイント
1.供給量の推移
ʼ21年の大規模オフィスビルの供給量は61万㎡に留まり、過去20年で最も少ない供給量となっ た。ʼ22年、ʼ24年、ʼ26年の供給量は絞られる一方、ʼ23年、ʼ25年は過去20年の平均供給量115万 ㎡を上回り、起伏の激しい供給環境となる。
2.供給エリアの傾向
ʼ22-ʼ23年は都心3区における供給が7割超を維持する。将来5年では、千代田区における供給 割合が低下し、中央区と港区の割合が増加する。特に港区は全体の5割を占めることとなり、今後 は港区を中心に供給が進む。過去5年では突出した供給量となっていた「大手町・丸の内・有楽 町」が、将来5年では上位10地区から外れ、「虎ノ門・新橋」「白金・高輪」「芝・三田」「赤坂・六本 木」「芝浦・海岸」といった、港区における開発が進む。
3.開発用地別の供給動向
ʼ12年以降の開発用地別の供給動向の割合を追うと、都心3区における「低・未利用地(再開発 等)」の開発が拡大していることがうかがえる。「建替え」が供給の中心であった大規模オフィス ビルの開発用地が、「低・未利用地(再開発等)」へとシフトしている。
4.中規模ビルの供給動向
ʼ21年の中規模オフィスビル供給量は7.4万㎡となり3年連続で前年を下回ることとなったが、 ʼ22年は一転して12.1万㎡まで上昇する。将来2年の平均供給量は10.2万㎡となり、過去10年の 平均供給量10.6万㎡と同水準の供給となることが予測される。
【総括】
ʼ21年の新築大規模オフィスビルは供給床の約9割でテナントが内定している。ʼ22年は約5割、ʼ23年は 約3割が内定しており、新築ビルの需要は底堅い。既存ビルに目を向けると、都心5区の空室率上昇トレン ドはʼ21年下期で落ち着いた。ʼ20年に落ち込んだ成約総面積もʼ21年に反転し、ʼ22年には一定水準まで 上昇する見込みである。賃料も一部エリアではʼ19年と同水準まで浮上するなど、堅調に推移している。
このような賃貸オフィスマーケットの動向は、企業がワークプレイス戦略の再構築を保留する「様子見」 姿勢から脱却したことを示唆している。テレワークの普及が、対面コミュニケーションの重要性を認識する 機会となり、オフィス回帰傾向が強まっている。ワーカーエンゲージメントの低下や企業文化の希薄化を 危惧する企業は、自社ブランディングや自社文化の伝播、ワーカーのウェルビーイング向上等の広範な観 点からセンターオフィスの役割を再定義し、メッセージとして空間に落とし込むことで、対面コミュニケーシ ョンの質の向上を図り始めている。このような底堅い需要に加え、今後5年間の大規模オフィスビルの平均 供給は過去20年間を約3割下回る低水準となっており、需給バランスは締まっていくと見込まれる。
社会やライフスタイル、働き方の変化が目まぐるしい時代だが、成長やイノベーションという企業の変 わらない需要に対し、ディベロッパーは時代を捉えた空間サービスを提供し、日本経済の持続的な成長に 貢献することが求められる。
※詳細については以下のURLをご参照ください。
https://www.mori-trust.co.jp/pressrelease/2022/20220705.pdf
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