ロシア国営のエネルギー大手ガスプロムは8月31日、ロシアからドイツに続くパイプライン「ノルド・ストリーム1」を経由する欧州へのガス供給を完全に停止した。パイプラインの修理が必要だとしている。
ガスプロムは、「ノルド・ストリーム1」を通じたガス供給を9月2日までの3日間、停止すると説明した。ロシアはすでに同パイプライン経由のガス輸出量を大幅に削減している。
ロシアをめぐっては、ウクライナ侵攻を受けて西側諸国が制裁を科している。西側はまた、ロシア産エネルギーへの依存度を減らす方向で動いている。
西側諸国はロシアがエネルギー供給を「戦争の武器」として利用していると非難しているが、ロシア側はこれを否定している。
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全長約1220キロのノルド・ストリーム1は、2011年に開通。バルト海の海底を通り、ロシア・サンクトペテルブルクに近い沿岸部からドイツ北東部へと、1日最大1億7000万立方メートルのガスを送ることができる。
ロシアによると、同パイプラインは7月にも修理のため10日間停止した。最近は欠陥が見つかったとして供給量をわずか20%に抑えて稼働している。
ドイツ連邦ネットワーク庁を率いるクラウス・ミュラー氏は、ロシアが数日中に供給を再開するなら、ドイツは対処できるとしている。
「我々は対処できると、私は考えている」と、ミュラー氏はロイター通信に語った。「私はロシアが3日に供給量を20%に戻すと信じているが、実際どうなるかを本当に言える人は誰もいない」。
ガス価格
欧州の指導者たちは、ロシアが停止期間を延長し、この1年ですでに急騰しているガス価格をさらに押し上げようとするのではないかと懸念している。
ただ、今回の発表が直ちに価格に影響を与えるとはみられていない。イギリスの主な天然ガス価格は、英国夏時間8月31日午後2時時点で15%以上下がっている。
ガス価格の急騰は冬場の生活費危機を招く恐れがあり、負担軽減のために政府が何十億もの拠出を強いられる可能性がある。
フランスのアニエス・パニエ=リュナシェ・エネルギー移行相は8月30日、ロシアが「ガスを戦争の武器として利用している」と述べた。この発言は、ガスプロムが仏エネルギー企業エンジーへのガス供給を停止すると発表したことを受けてのもの。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の報道官はこうした主張を否定。西側の制裁がロシアのインフラにダメージを与え、供給の中断を生じさせていると強調した。
大統領報道官は、ロシアがノルド・ストリーム1を通じてガスを供給できない原因は、制裁による「技術的問題」のみにあると主張した。ただ、それがどのような問題なのかは明らかにしなかった。
EUが市場介入を約束
直近では、カナダで修理されてドイツに届けられたタービンを、ロシアが欧米の制裁の対象にされているとして引き取りを拒否したことが物議を醸している。
ドイツはこのような事実はないと否定している。
ロベルト・ハーベック独経済相は8月初旬、パイプラインは完璧にフル稼働しており、ロシアが主張するような技術的問題はないと述べていた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は今週初め、スロヴェニアで開かれた会議で、エネルギー市場へ介入すると約束。
「私たちにはしっかり機能し、自分たちのバランスを取り戻すような電力の新しい市場モデルが必要だ」と述べた。
ドイツは100億ユーロ(約1兆3000億円)規模のパイプライン「ノルド・ストリーム2」を支持していた(承認はしていない)。しかし、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、稼働はしていない。
からの記事と詳細 ( ロシアのガス大手、欧州への供給を3日間停止 修理のためと - BBCニュース )
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