岸田文雄政権が原子力発電をめぐる方針の転換を正式に決めた。
「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で東日本大震災以降、停滞していた原発の建て替え(リプレース)や運転期間の延長などを盛り込んだ基本方針を了承した。
ロシアのウクライナ侵略に伴い、石油や液化天然ガス(LNG)などの化石燃料価格が高騰している。こうした中で原発の積極的な活用を通じ、エネルギーの安定供給や電気料金の抑制を目指すのは当然である。
同時に太陽光など再生可能エネルギーの導入を進め、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素化も推進する。
ただ、原発の建て替えには多額の資金と時間が必要だ。今後も原発を活用するには、補助金などによる支援も検討すべきだ。
原発の共同建設・運用などの枠組みの構築を含め、政府が主導しなければならない。
基本方針は、原発について「安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード(基幹)電源として重要な役割を担う」と位置付けた。そのうえで「将来にわたって持続的に活用する」と明記した。
安全性をより高めた次世代原発の開発・建設は、廃炉が決まった原発を対象に具体化を図る。既存の原発も安全最優先で再稼働を進め、安全審査などで運転が停止していた期間は、最大60年とする運転期間から除外し、実質的な運転延長を認める。
政府は東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、原発の建て替えや新増設は「想定していない」としてきた。だが、世界的なエネルギー危機で欧米諸国は原発活用を進めている。日本の方針転換を歓迎したい。
とくに最近は国内の電力需給が逼迫(ひっぱく)傾向にあり、天候などに左右されない安定的な電源の確保が大きな課題となっている。政府は原発の建て替えや運転延長などを着実に進めることで、深刻な電力不足の解消に努めねばならない。
脱炭素化には150兆円超の資金が必要とされ、政府は20兆円のGX移行債を発行して投資の呼び水とする。償還財源として、企業の二酸化炭素(CO2)排出に課金するカーボンプライシングを導入する。産業界に過度な負担とならないような設計が不可欠だ。
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