「引き続き、栃木の自慢のイチゴをお引き立てください」。11月中旬、JA全農とちぎが東京・お台場のホテルで開いた流通懇談会。首都圏の市場関係者やバイヤーに、栃木県の末永洋之(すえながひろゆき)副知事が売り込んだ。
「とちおとめ」だけでも高い国内シェアを誇る栃木県。地の利も追い風に、大消費地の首都圏市場では無類の存在感を示す。
生産量50年連続日本一を達成した栃木県は2018年、「いちご王国」を宣言し、販路拡大へ関西プロモーションを加速させた。
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「西の横綱」福岡県は、「あまおう」で関東に切り込む。4割、3割、3割-。この配分であまおうを関東、関西、九州地方に振り分けている。
東京都中央卸売市場で頭角を現したのはデビューから2年後の05年。高級品種としてとちおとめに次ぐ取扱量に押し上げた。百貨店や果実専門店での販売にも注力。「単価は上がり、箔(はく)も付いた」と同県幹部は打ち明ける。1キログラムの販売価格はとちおとめを上回り、狙いは的中した。
一方の栃木県。「おいしさと求めやすい価格で勝負する」と福田富一(ふくだとみかず)知事はうたう。多品種をそろえる王国としてPRし、売り先を増やす狙い。本年度は関西に週3便、長距離バスで直送する試みにも取り組む。
ただ、関西は既に九州勢の主戦場。昨年12月、大阪市中央卸売市場本場に福岡県が94トンを出荷した一方、栃木県は2.2トン。「安定的に出荷できないと浸透は難しい」と市場関係者は言う。
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栃木県産イチゴは足元の首都圏からも「もっと欲しい」と求められる中で、どうやって関西へ安定供給するのか。県が期待するのが「とちあいか」だ。とちおとめより収量の多い新エースにシフトし、供給量を確保するという構想を抱く。
生産量を増やし産出額アップを狙う栃木県だが、生産現場からは「過剰供給になり、単価の下落を招かないか」との懸念もくすぶる。
西へ、東へ販路を広げる両県。「スーパーが大型化し、1品種だけで必要な量を確保するのが難しくなっている」と大阪の市場関係者は言う。多様な品種がそろうからこそ消費者はひきつけられ、市場は活性化する、と見る向きもある。「市場自体が縮小しないようにするには、他県も含めた安定供給が必要だ」。栃木県の担当者は強調する。
両県の関係者はお互いをこう表現する。「ライバルであり、パートナーだ」
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