半導体などの重要物資が不足すれば、国民生活や社会は混乱しよう。安定したサプライチェーン(供給網)を構築しなければならない。
政府は、昨年5月に成立した経済安全保障推進法に基づき、生産や備蓄を支援する対象として11の「特定重要物資」を指定した。半導体のほか、蓄電池、レアアース(希土類)など重要鉱物、天然ガス、航空機・船舶部品などだ。
ロシアによるウクライナ侵略や米中対立の影響で、自動車部品などに使われている半導体の供給は、世界中で滞った。ウクライナ危機で、各国は天然ガスなど資源の調達に窮している。
重要物資を過度に国外や特定の国に依存するリスクは大きい。
政府は今後、11物資それぞれの安定供給に向けた計画を作る。開発や備蓄を行う企業を財政支援する方針だ。官民で連携し、着実に取り組みを進める必要がある。
日本は、生活に欠かせない多くの物資を中国に依存している。
重要物資に指定した抗菌薬のうち、医療現場で使われている「βラクタム系」の原材料もその一つだ。2019年には中国でこの原材料工場が操業停止となった。その影響で、日本の一部医療機関が手術を延期したことがある。
尖閣諸島沖で10年に中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件を巡って、中国は、レアアースの日本への輸出を規制した。今後も、中国が重要物資を対日圧力の材料に使う可能性はある。
天然ガスなど国内で調達が困難な資源については、調達先の多様化を図ることが不可欠だ。経済産業省は昨年、豪州に液化天然ガス(LNG)の増産を要請した。政府が先頭に立ち、資源の確保に努めることが重要だ。
ワシントンで今月中旬に開かれた日米首脳会談では、先端的な半導体の開発について協力することで合意した。現在は、世界の先端半導体の生産量の約9割を台湾が占めている。首脳間の合意は、台湾有事が念頭にあるのだろう。
日本はかつて、世界の半導体市場で5割のシェア(占有率)を誇っていた。今は1割程度となったが、半導体の製造装置の生産ではなお強みがある。国産半導体の復活を目指すとともに、日米などで供給網を構築していくべきだ。
企業側には、経済安全保障の強化で中国とあつれきが生じることを懸念する声もある。政府は、経済安保の重要性を説くとともに、企業活動を必要以上に阻害しないよう配慮することも大切だ。
からの記事と詳細 ( 経済安全保障 安定した供給網の構築急げ - 読売新聞オンライン )
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