【ワシントン=大内清】バイデン米政権にとり、インドでの20カ国・地域(G20)や日米豪印の枠組み「クアッド」の各外相会合は、ロシアのウクライナ侵略やそれに協力する中国に対抗するため、多国間協力とサプライチェーン(供給網)再編を進める上で重要な外交舞台となった。特にグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)にも影響力を持つホスト国インドとの関係強化はいっそう重要度を増している。
「ロシアを免罪してしまえば、他の侵略予備国が同様に振る舞っても平気だとのメッセージになる」。クアッド外相会合に出席したブリンケン国務長官は3日、国際社会が団結する意義をこう強調した。2日の記者会見では、G20外相会合で中露がウクライナでの戦争への非難に賛同しなかったことに触れ、「1つや2つの外れ者国家」によって多国間協力が損なわれてはならないとした。
いずれも「ルールに基づく国際秩序」の構築を掲げるバイデン政権の理念に沿った発言だ。その環境を整備するためにブリンケン氏は今回の訪問を、インドとの戦略的関係を前進させる機会と捉えてきた。
米印は1月末、防衛や半導体産業の強靭(きょうじん)化に向けた協力強化で合意。その成果を踏まえ、ブリンケン氏は2日のジャイシャンカル印外相との会談で、半導体をはじめとする戦略技術やエネルギー安全保障など幅広い分野の連携を協議した。
インドはウクライナ侵攻後も露産石油の購入を続けるなど米主導の対露制裁とは一線を画す。それでも米国がインドを重視するのは人口14億人の巨大市場を抱え、ハイテク分野の発展も著しい同国が、半導体などのサプライチェーン再編と「脱中国依存」を進めるのに不可欠な存在だからだ。
インドはこのところ、グローバルサウスの〝盟主〟としても存在感を高めている。今年1月には途上国の首脳・閣僚らを集めたオンライン会合を主催した。
中露による現状変更の試みに対抗するにはグローバルサウスの動向がカギを握る。民主主義の価値観を共有する国々を結集し専制国家を抑止する戦略を描くバイデン政権にとり、インドの取り込みは焦眉の急だ。
日米豪印「一方的行動に反対」 共同声明発表、中国の秩序挑戦に対抗
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