鳥インフルエンザによる殺処分が各地で相次いだ影響などで、鶏卵が一部スーパーで品薄になるなど供給が減少している。外食産業では卵商品の販売休止も広がる。供給が戻るまで、農林水産省などは半年から1年ぐらいはかかるとみている。価格高騰も収まる気配を見せない。家計や食卓への影響も長引きそうだ。(砂本紅年、並木智子)
「本日の卵は完売しました」。先週末の夕刻、神奈川県内のスーパーに、お知らせの紙が張り出された。
首都圏では、卵が品薄になっているスーパーも目立つ。都内などで店舗を展開するアキダイの秋葉弘道社長は「今のところ取引先に鳥インフルエンザの被害が出ていないため、仕入れは減ってないが、取引先に被害が出たスーパーは仕入れが大幅に減った」とする。
鳥インフルの被害は深刻だ。農水省によると、今季の殺処分数は現時点で過去最多の約1500万羽以上。全国の飼育数の1割を超える。生産者が、ロシアのウクライナ侵攻などによる飼料高騰で生産を絞っていたところに鳥インフルが直撃、急激な供給難が生じた。
今後も供給不足は続きそうだ。ひなから卵を産める状態まで鶏を飼育するには半年前後は必要。野村哲郎農相は3日の会見で鶏卵の供給が戻るまで「大体半年から1年ぐらいかかる」と見通した。
鶏卵の価格高騰も収まる気配がない。墨田区のスーパーイズミ。棚の卵(Mサイズ)は1パック・338円(3日時点)で、例年の倍に。五味衛社長(63)は「これほど高いのは40年やっていて初めて」。仕入れ先が優先的に納入してくれているが「いつ入らなくなるか心配」と話す。日々の献立に欠かせない卵。女性客(50)も「使用数や頻度を減らしている」と苦しい台所事情を話す。
JA全農たまごによると、鶏卵の卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)は6日時点で1キロ当たり335円。2月は月平均で1キロ当たり327円と過去最高を記録した。
卵料理の販売業者への影響も大きい。築地場外市場(中央区)の卵焼き専門店「丸武」取締役の伊藤孝夫さん(75)は「こんなに苦しいのは初めて」と打ち明ける。「150円前後が普通だった1キロの仕入れ値が倍以上になった」。光熱費や油の価格も上がる中、卵の入荷が発注量の半分程度に落ち込み、生産量が減少、売り上げも伸び悩む。
商品を販売中止にした企業もある。日本マクドナルドは「てりたまマフィン」を、崎陽軒も当面「
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