モンゴル南部の中国国境のすぐ北に位置するオユトルゴイ鉱山は、鉄鉱石への依存脱却と銅事業拡大を図る リオ・ティント・グループの取り組みにとって重要な位置を占めている。クリーンエネルギー転換を支える金属の1つである銅の広大な鉱床を持つためだが、同鉱山は事業や政治、技術面で多くの難題を抱えており、銅の供給を巡る厳しい先行きがうかがえる。
銅の需要が急増する中、ゴビ砂漠の地下にあるこの鉱山のように、割高な上に技術的に複雑で、自国の天然資源を守ろうとする政府の監視下で運営される鉱山が供給源となるケースが増えている。
「ターコイズの丘」を意味するオユトルゴイでの作業に早くから携わった地質学者のダグ・カーウィン氏は「(供給の)大きな危機だ。エネルギー転換やネットゼロを推進するのに必要な量の銅を今後10年で供給できるわけがない。実現は不可能だ。発見・開発されている銅鉱床が不十分だ」と述べた。
ウッド・マッケンジーのアナリストは、より環境に優しい世界にするには、銅は2040年までに約600万トンの供給不足となると予測。つまり、その期間にオユトルゴイと同規模の12の鉱山を新たに稼働させる必要があるということだ。
新たな鉱山は不十分で、ましてや大規模鉱山は言うまでもなく、結果的に需給ギャップが拡大。精製銅の需要は40年までに53%増えるものの、鉱物供給の伸びはわずか16%にとどまるとブルームバーグNEFは予測している。
世界の大手鉱山会社は手をこまねいているわけではない。銅不足の見通しを背景に、スイスの資源会社 グレンコアは、銅生産を手掛けるカナダの同業テックリソーシズの買収に動き、産金最大手の米 ニューモントはオーストラリアの同業ニュークレスト・マイニングに記録的規模の買収提案を行った。実現すればニューモントが生産する主要資源リストに銅も加わる。 BHPグループは銅生産の OZミネラルズの買収を完了したばかり。買収額は過去10年で最大だった。
ただ、いずれかの買収が成功したとしても、世界全体の需給バランスが変わることはなさそうだ。
鉱山の開発には大きな痛みを伴う。価格はコスト上昇に見合うほどの水準にはなく、リスクは数多い。オユトルゴイの建設には200キロメートルにわたるコンクリートのトンネルだけではなく、道路や空港、送電、水インフラも含まれる。
気候変動の目標達成のための経済グリーン化や代替エネルギー拡大などにはオユトルゴイのような鉱山がもっと多く必要になる。
原題: Copper Mine Flashes Warning of ‘Huge Crisis’ for World Supply(抜粋)
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