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グリーンスチール(以下、グリーン鋼材)は、生産工程からの二酸化炭素(CO2)排出量を減らした鋼材である。2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に向けて、鉄鋼大手3社が量産体制の確立に向けた取り組みを加速させている(図1)。
グリーン鋼材の実用化で先行するのは神戸製鋼所である。日産自動車が新型車のボディー骨格に、神戸製鋼が供給する同鋼材の適用を決めた。日産は中型ミニバンの新型「セレナ」からグリーン鋼材の適用を始め、他の車種にも広げる計画である。通常の鋼材に比べて価格は高くなるが、骨格部品の製造工程におけるCO2排出量の削減を重視した(図2)。
マスバランス方式を適用
日本製鉄は2023年9月に、自動車メーカーなどへのグリーン鋼材の供給を開始する。高炉の代わりに電炉を使って製造するもので、初年度の供給可能量は30万t(トン)規模を計画する。
同社常務執行役員で薄板事業部長の遠藤 悟氏は、「材料コストは高くなるが、(グリーン鋼材の)ニーズはある。手応えを感じている」と話す。早ければ2023年度内にも、最初の採用が決まるとみられる。
JFEスチールも2023年度上期に、グリーン鋼材の供給を始める。初年度の供給量は20万t程度を見込む。同社が生産するすべての鉄鋼製品が対象になる。
鉄鋼大手3社のグリーン鋼材はいずれも、「マスバランス方式注1)」を適用する。これにより、第三者機関から「CO2排出量100%削減」の認定を受けられる。
注1)鋼材製造時のCO2削減効果を特定の鋼材に割り当てること。例えば、1tの鋼材を造る際にCO2排出量を20%減らせば、20%分(200kg)の鋼材は第三者機関から「CO2排出量ゼロ」の認定を受けられる。
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