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Sunday, September 10, 2023

医薬品供給不足とは? 20年のジェネリック不正と薬価制度が背景に - 日経ビジネスオンライン

日本で医薬品の供給不足が2021年から続いている。20年末に後発医薬品(ジェネリック)メーカーの小林化工(福井県あわら市)の不適切な製造や品質管理の不正が発覚したことがきっかけになっている。だが、この問題は日本の薬価制度が抱える問題とも関係している。今回は日本や世界の薬不足と薬価制度について取り上げた過去記事を紹介する。

日本と世界で深刻化する「薬不足」

 近年、薬の供給不足が問題となっている。特にジェネリックが深刻だ。日本製薬団体連合会が23年7月に実施したアンケート調査では、ジェネリック全品目の32.4%が出荷停止・限定出荷になっているという結果が出た。

 この問題の直接的な原因としては、20年に発覚したジェネリックメーカーの不正をきっかけに、21年以降複数社への業務停止命令が出されたことが挙げられる。それによる薬不足が2年以上続いていることになる。しかし背景には、日本の薬価制度が抱える課題もある。

 薬不足は日本だけでなく、世界が共通して抱えている課題でもある。この記事では国内外の薬不足をめぐる現況と課題について、過去記事から紹介していく。

薬局の混乱収まらず 医薬品供給不足を招いた過度な「文書主義」

 21年にジェネリックメーカーが行政処分を受けたことをきっかけに始まった薬不足だが、承認書と製造実態とを一字一句照らし合わせるような規制の在り方に疑問を示す声も上がっている。日本では医薬品承認の申請資料に原薬や製剤の製造方法に関する細かな内容を記載しなくてはならないが、それと製造実態を合わせるよう厚生労働省から強く求められている。それが国際的に見て厳しすぎるというのだ。

日本の医薬品、供給力が危ない

 薬の供給を不安定なものにしているのが、医療費の増加を抑えるため毎年実施される薬価改定だ。世界では今後、年率数%で市場の拡大が見込まれるが、日本の医療用医薬品は市場縮小が続くとみられている。そうした環境下で、特に中小の製薬会社は経営が厳しくなっており、将来の医薬品供給に不安が残る。ジェネリックメーカーについては厚生労働省が無通告の査察を強化するとしており、メーカーの淘汰が始まると予想されている。

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