胃腸薬として知られる「正露丸」のうち、薬の表面を糖分で覆って飲みやすくした「糖衣錠」が店頭で品薄となっている。業界最大手の大幸薬品(大阪市)が原料メーカーの切り替えに伴い減産した上、大手のキョクトウ(富山市牛島新町、福見勉社長)も薬品瓶の納入遅れで供給不安定が長期化したためだ。両社とも安定的な供給に向け、生産体制の見直しを急ぐ。
正露丸は、ブナなどの樹木から精製する「木クレオソート」を主成分とする。本来は独特の匂いがあるが、糖衣錠は表面にコーティングを施すことでにおいを抑えている。国内では大幸薬品とキョクトウが大きなシェアを占める。
キョクトウは、出荷後の品質を調べる安定性モニタリング試験で有効成分の含有量が承認規格外となる可能性が生じ、2022年に「正露丸」を自主回収した。生産を停止したため代替品として「正露丸糖衣」の需要が高まったが、取引先の薬品瓶メーカーの納入が遅れ、安定的に出荷できない状態が続いた。
大幸薬品も原薬メーカーの切り替えや設備トラブルで「セイロガン糖衣A」の生産量が落ち込んだ。23年度の販売数は1億900万錠と新型コロナウイルス流行前の19年度から約3割減少。業界大手が相次いで減産を余儀なくされたことで、市場全体に流通する正露丸糖衣が供給不足に陥った。
正露丸糖衣の安定供給に向け、両社は生産体制を強化する。大幸薬品の柴田高社長は15日の決算会見で、正常化に向けての課題は解決したと強調。「セイロガン糖衣A」を製造する吹田工場(大阪)の操業時間を拡大し、3月をめどに京都工場(京都)での包装生産をスタートさせる。24年度はコロナ前の販売水準を目指す。
キョクトウでは、薬品瓶の納入遅れが23年末に回復したため、富山市牛島本町の工場で増産体制を構築。50錠入り製品の生産量を従来の月8万個から10万個まで早期に増やす計画だ。福見勉社長は「正露丸糖衣の市場全体で、多少の供給改善が期待できる」と話した。
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