日本海事協会は2024年4月11日、三菱造船(横浜市)などのアンモニア(NH3)燃料供給装置(AFSS)とアンモニア処理装置(AGAS)に基本設計承認(AiP)を発行した(図1)。同日、三井E&S造船(東京・港)のメタノール燃料供給装置(LFSS)にもAiPを発行した。燃料の転換による温暖化ガス(GHG)排出量の削減を推進する。
AiPを受けたAFSSは、スイスの舶用大型エンジンライセンサーであるWinterthur Gas&Diesel(ウインターツール・ガスアンドディーゼル、WinGD)が開発を進めるアンモニア焚き大型低速2ストロークエンジン「X-DF-A型」に向けて、三菱造船が開発しているもの。三菱造船とWinGDは、2023年6月にAFSSの技術検討を開始する覚書(MOU)を締結して以降、技術検討を重ね、2024年2月に基本設計を完了した。
これに対して日本海事協会は、同会の「代替燃料船ガイドライン」のC部に基づく審査を実施し、AiPを発行した。AFSSに付属するAGASでもAiPも取得したことから、三菱造船とWinGDは引き続き製品化に向けた検討を進める。
さらに三菱造船は、X-DF-A型以外のアンモニア燃料燃焼装置に向けたAFSSやAGASを含む舶用AFSSハンドリングシステムの開発に取り組む(図2)。併せて、アンモニア燃料船や、主機関・発電機関・ボイラーといった複数のアンモニア燃焼装置から成る船内プラントの設計エンジニアリングも提案していく。
国内組み立てでユーザーの手間を軽減
一方のLFSSは、舶用低速ディーゼル主機関向けに三井E&S造船が開発した(図3)。主要構成機器をシンプルにして、小型・軽量化したのが特徴という。日本海事協会は同装置のコンセプト設計を対象に、国際海事機関(IMO)暫定ガイドラインの内容を取り入れた「代替燃料船ガイドライン(第2.1版)」に基づく審査を実施し、AiPを発行した。
ポンプや熱交換器、制御装置といった主要構成機器の製造は日本国内のメーカーが担当する予定で、取扱説明書や問い合わせへの回答には日本語で対応できる。組み立ても国内で実施するため、ユーザーは海外での工場受入検査(FAT)に立ち会ったり、海外メーカーから技師を招請したりする負担とコストを省ける。
メタノール燃料について日本海事協会は「代替燃料の有望な選択肢の1つ」と位置付ける。バイオマス由来のバイオメタノールや、二酸化炭素(CO2)と再生可能エネルギー由来の水素を合成して生成するeメタノールなどを用いて、ライフサイクルベースでGHG排出量の削減が期待できるとする。
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