米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンは当面、欧州連合(EU)で製造されたものが輸入される。12日に第1便が到着し、来週にも第2便が届く。だが、EU域内で必要な分が不足し、輸出が承認制になったため、その後の日程は分からない。17日から医師らへの先行接種が始まるが、高齢者らへの順調な接種につなげられるか―。(小坂井文彦、藤川大樹)
◆いよいよ切り札スタート
「いよいよコロナ対策の切り札と言われるワクチン接種が始まる」。河野太郎行政改革担当相は16日夕の記者会見でそう語り、新型コロナの感染拡大抑制への期待を込めた。
17日から、独立行政法人の医療機関100カ所で順次、医療従事者への先行接種が始まる。内訳は、国立病院機構が52、地域医療機能推進機構が27、労働者健康安全機構が21。当初予定は1万~2万人だったが、希望が多く、4万人になったという。
接種を急ぐ政府の方針を受け、ワクチンの搬送も慌ただしい状態が続く。ある先行接種予定の病院には16日午後2時の時点で搬送日程に関する連絡はなく、担当者は「『今週の方向で』としか聞いていない」と話した。ワクチン保管用の超低温冷凍庫(ディープフリーザー)納入の際も、連絡は直前だったという。
◆224回の空輸が必要
約4万人の先行接種後、3月中旬から医療従事者の接種を約370万人に拡大し、4月から高齢者約3600万人に接種を始める予定だ。河野担当相は16日、「高齢者接種で、現時点で付け加えることはございません」と予定に変更はないと説明したが、EUから第3便以降、ワクチンがいつ届くかの情報はない。
第1便で届いたワクチンの量は「6万4350バイアル(瓶)」だった。特別な注射器を使えば、1瓶から6回分取れるが、政府が確保する特別な注射器は少ない。一般的な注射器を使うと、1瓶から5回分しか取れない。
今後も空輸される量が毎回、第1便と同量の「6万4350瓶」で、1瓶から5回分取れると計算した場合、高齢者が2回接種する7200万回分の確保には、224回の空輸が必要になる。
◆「1日も早く配布日程示して」
高齢者ら市民への接種を担当する区市町村は、供給スケジュールが分からないと、集団接種の会場や担当する医師や看護師らを確保できない。政府に情報を求めるが、EUの承認次第のため政府も見通せない。
16日の衆院予算委員会で、参考人として出席した前川燿男・東京都練馬区長は「1日も早く、ワクチンの配布日程を示してほしい」と要望。河野担当相は同日の記者会見で、「率直におわびしなければいけない」と言うほかなかった。
供給スケジュールの行方は不透明でも、一方で、ワクチンの搬送・保管体制を整えなければならない。超低温冷凍庫は、全国の拠点病院などに2月中に1510台が配備される。3月中にさらに1860台、最終的に全国で1万台が配備される予定だ。
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