大日本印刷とトーハンは、生活者を起点とする出版流通改革に向けて、全面的な提携を行なうことに合意し、具体的な取り組みを開始した。製造と物流を連携させ適時・適量の配本体制を確立。出版社倉庫との連携を拡大することで返品在庫を極小化し、共同仕入れにより書店販売力の向上も図る。
日本の出版流通に関わる出版社・取次・書店等のステークホルダーは、従来から流通の継続・維持と収益改善に努め、一部に返品率削減などの改善効果も表れ始めている。一方、市場全体の売上減少傾向は続いており、ネット通販の拡大等による物流ネットワークの逼迫と相まり、出版流通全体の変革が求められている。
こうしたことから両社は、あらためて生活者を起点とした全体最適の視点に立ち、出版流通の基盤を再整備する必要性を認識。この再整備に最優先で取り組むことで、物流の合理化や出版社の返品在庫の廃棄極小化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつなげていくとしている。
課題解決は「製造・物流改革」「情報流通改革」「商流改革」「販促改革」の4つの改革を軸に推進する。
製造・物流改革では、製造と物流の連携による適時・適量の配本体制を確立。取り組みの第一弾として、これまでDNPが丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきた書籍流通センター(SRC)を、新たにトーハン桶川SCMセンター内に設置し、トーハンの倉庫・物流機能との連携を強化する。設置時期は2022年夏~秋を予定。
情報流通改革では、読者の需要情報(注文・購買)や書店・出版社の在庫を共有する情報基盤を確立。1冊から製造可能なDNPの書籍製造一貫工場(白岡工場)との連携強化や、出版社倉庫との連携拡大により、適時・適量の配本を実現する。
これらの取り組みを土台として、商流改革の一環として、読者ニーズを起点とした共同仕入れの取り組みを進め、販促改革として書店の販売力向上も図る。
まずはトーハン及びDNPのグループ書店でテストを実施し、その後、両社グループ以外の書店の参入を促進。全国規模での出版流通改革の実現を目指す。
今回の連携により、マーケットの需要に応じた配本を強化し、出版流通市場全体で書店の欠品を減らし、販売機会を増大する。すでに出版社ではオーム社・偕成社・河出書房新社・新星出版社・ポプラ社・有斐閣等、書店では三省堂書店から、参画の意思表明を得ているという。
からの記事と詳細 ( DNPとトーハン、読者ニーズ起点の出版流通改革。返品極小化 - Impress Watch )
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