フランスのエンジーの天然ガス供給事業子会社GRTガズ(GRTgaz)は6月17日、ドイツ経由のパイプラインで調達しているロシア産天然ガスの供給が6月15日に途絶えたことを明らかにした(同社の6月17日付発表)。
ドイツ、スイス経由で調達しているロシア産天然ガスは既に2022年1~5月に前年同期比で60%以上減少しており、GRTガズはノルウェー産液化天然ガスの調達を増やす(同社の出版物3月号)とともに、スペイン経由で調達している天然ガスを1日当たり100ギガワット時(GWh)から220GWhまで増やして対応している。
1~5月の天然ガスの輸入量は前年同期比で66%増加した。GRTガズがフランス北部ダンケルク、西部モントワール・ド・ブルターニュ、南部フォス・カバウとフォス・トンカンに有する計4カ所の液化天然ガスターミナルはフル稼働している。輸入量をさらに拡大するため、同社はフォス・カバウの設備を2022年に11テラワット時(TWh)、2023年に13TWh、2024年に30TWhに拡張する計画だ。ダンケルクの設備拡張も予定している。
同社はエコロジー移行・国土結束省、トタルエナジーズ、ルアーブルセーヌメトロポール(注)などとルアーブル港に設置を計画する浮体式天然ガス貯蔵再ガス化施設(FSRU)について、2022年秋に着工し、2023年夏に稼働する予定だと発表した。同施設が完成すれば、追加で年間45TWhの天然ガスの輸入が可能になる。
天然ガスの備蓄率は3月中旬の19%から現在の56%まで引き上げているとした。2022年度冬季の天然ガス供給力については問題ないとしたが、寒波到来によって需給が逼迫した場合は、一部の製造業事業者に対し補償と引き換えに供給量を縮小する警戒メカニズムを発動する可能性に言及した。
なお、エマニュエル・マクロン大統領はロシアのウクライナ侵攻に関し6月14~16日にルーマニア、モルドバ、ウクライナの東欧3カ国を訪問し、モルドバ、ウクライナのEU加盟を支持する考えを示すとともに、ウクライナに対し人道的、経済的、軍事的支援を強化することを約束していた。
(注)メトロポールは市町村広域連合体の単位の1つ。
(山崎あき)
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