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Sunday, August 21, 2022

コロナ教訓、薬の供給情報「一元把握システム」…病院・薬局と共有し買いだめ抑制へ - 読売新聞オンライン

 新型コロナウイルス禍で一部の薬や検査キットの需給が 逼迫ひっぱく したことを踏まえ、厚生労働省は製造や流通の状況を一元的に把握できるシステムを作る方針を固めた。供給不足となった場合、製薬会社や卸売会社がオンラインで報告し、一元的な情報を医療機関や薬局が閲覧できるようにする。薬の買いだめ防止や代替薬への切り替えを促すのが狙いだ。

 厚労省は2023年度予算の概算要求に、システムの構築費用など約1億4000万円を盛り込む。

 コロナ禍では、インターネットなどで評判になった一部の薬や検査キットに需要が集中。7月末には、副作用が少なく、子どもへの安全性が高いとされる解熱鎮痛薬「カロナール」の一部が出荷停止となった。薬局などによる買いだめが供給不安に拍車をかけ、解熱作用のある代替薬への転換もスムーズに進まなかった。

 コロナの抗原検査キットは、知名度の高い製品に注文が殺到し、キット全体では在庫がありながらも、キット不足で検査ができない医療機関が続出した。

 供給不安が起きた場合、現行では厚労省が製薬会社などに出荷量や今後の見込みを聞き取り、ネット上で公開しているが、手作業のため情報の発信は遅れがちだ。卸売会社は、代替薬を含めた生産量の全体像がわからず、医療機関や薬局などの顧客に対し、代替薬への転換を促すことが難しかった。

 新たなシステムでは、厚労省が国内の製薬会社や医療機器メーカー、卸売会社に対し、品薄になった薬や機器のほか、その代替品について、生産量や出荷量、在庫状況をオンラインで報告するよう求める。厚労省は、報告を基に、増産など必要な措置を要請する。

 さらに供給状況を一元的に集約した情報共有サイトを新設する。医療機関や薬局が最新の情報を把握できるようにすることで、特定の製品の買いだめ抑制と、代替品への転換につなげる。

 供給不安は、新型コロナなど感染症の流行時だけでなく、製薬会社の不祥事などでも起きる。2020年以降、ジェネリック医薬品(後発薬)の大手メーカーの不正製造が相次いで発覚し、今も多くの後発薬で出荷の停止や調整が続く。

 厚労省は、感染症流行時などの有事だけではなく、こうした平時の供給不安でも新システムを活用したい考えだ。

 厚労省は23年度中の新システムの運用開始を見込む。システムの構築や運営は民間事業者に委託する。導入に向け、製薬会社や卸売会社に報告を義務づける関連法の改正案についても早期の国会提出を目指す。

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