2022年08月04日 06時26分更新
国立環境研究所の研究チームは、セメント・コンクリートの供給側と需要側における計16の二酸化炭素(CO2)排出削減策を調査し、日本のセメント・コンクリート部門における2050年カーボン・ニュートラル(炭素中立)の達成方法を検討。その結果、供給側における対策を最大限に実施するだけでは不十分であり、需要側における対策を組み合わせて早急に実施することで初めて達成が見込まれることを示した。
国立環境研究所の研究チームは、セメント・コンクリートの供給側と需要側における計16の二酸化炭素(CO2)排出削減策を調査し、日本のセメント・コンクリート部門における2050年カーボン・ニュートラル(炭素中立)の達成方法を検討。その結果、供給側における対策を最大限に実施するだけでは不十分であり、需要側における対策を組み合わせて早急に実施することで初めて達成が見込まれることを示した。 研究チームはまず、供給側におけるエネルギー効率改善や燃料転換、セメント原料代替、低炭素型セメント、炭素回収利用技術といった計9つの対策を最大限に実施した場合の二酸化炭素排出の削減量を評価。カーボンニュートラル達成に必要な排出削減量には約20%(約400万トン)届かない可能性があることを示した。次に、需要側における、素材を過剰に使用する設計の回避や、建設物の長期利用、共有化、都市機能の集約化、解体部品の再利用などの計7つの対策を評価。これらの対策を供給側の対策と組み合わせて早急に実施することで、2050年にカーボン・ニュートラルの達成が見込まれることを示唆した。 2050年にカーボン・ニュートラル社会を実現するには、全二酸化炭素排出源の脱炭素化が必須である。だが、主要な排出源の一つであるセメント・コンクリート部門では、生産工程における焼成時の化学反応(石灰石の脱炭酸)や高温熱の供給によって大量の二酸化炭素が排出されるため、発電や運輸部門などと比較して脱炭素化が困難であることが知られている。 研究成果は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に、2022年7月18日付けで掲載された。(中條)
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