(写真:Shutterstock)
17年後の2040年、この日本という国で、「私」はどのように生きていけばいいのだろうか。
と、遠い未来の話なのか、ちょっと先の話なのか、イメージしづらい入り方になってしまったけど、まずは先週話題になった「2040年の日本の姿」から。
労働供給制約社会とは、日常生活のバランスが崩れること
リクルートワークス研究所が「労働供給制約」(=生活を維持するために必要な労働力を供給できない状態)という、日本社会が今後直面する社会問題に、警鐘を鳴らす目的で、未来予測を行ったところ、企業などで働く担い手不足が、40年には全国で1100万人余りにのぼることが分かった(以下、リクルートワークス研究所「未来予測2040」、https://www.works-i.com/research/works-report/item/forecast2040.pdf、より)。
最も労働供給不足になるのが、介護職員や訪問介護などの「介護サービス」で、30年には21万人、40年には倍以上の58万人の供給不足になると推定された。40年の労働需要(229.7万人)に対する不足率は25.3%。「週4日必要なデイサービスがスタッフ不足で3日しか受けられない」という状況が標準的になるという。
次いで不足率が大きいのが「商品販売」で24.8%。小売店は無人化を余儀なくされる。「輸送・機械運転・運搬」を担うドライバー不足も深刻で、40年の労働需要(413.2万人)に対する不足率は24.2%。「4人必要な仕事に3人しかいない」状況だ。
また、「建設」の不足率は22%。道路のメンテナンスや災害時の復旧に手が回らず、必要なインフラが使えないままになる可能性が高い。
さらに、超高齢社会に必要不可欠な医師・看護師・薬剤師などの「保健医療専門職」の不足率は17.5%で、病気になっても診察を受けるのが難しくなり、救急車を呼んでも受け入れる病院がない事態が想定されるそうだ。
どれもこれもなんとなく分かっていたことではある。
しかし、今回の調査で「私たちの生活に密接に関係している職種」に着目し分析したことで、17年後の日本の“日常”がより具体的になった。
介護現場はすでに問題山積なので、「4日のデイサービスが3日」になると聞いてもさほどの衝撃はない。しかし、救急車で運ばれても入れる病院がない状況は、新型コロナウイルス禍の異状は“前触れ”にすぎず助けられる命が助けられなくなる“日常”がすぐそこにせまっていることを意味している。
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