オレンジ果汁が今年に入り、世界的な供給不足に直面している。背景には、原産国として知られるブラジルや米国での天候不順や、柑橘(かんきつ)類特有の病害の流行が指摘されている。供給量の逼迫(ひっぱく)を受け、オレンジジュースを取り扱っている国内の飲料メーカーでは一時的な販売停止や、値上げに踏み切るなど影響が出始めている。
「カンキツグリーニング病」が拡大
日本国内の果樹産業を支援する公益財団法人「中央果実協会」(東京)によると、オレンジは主に果汁(ジュース)用として使用されているバレンシアオレンジと、生食用のオレンジ(ネーブルオレンジなど)に分類される。
国連食糧農業機関(FAO)の統計データベースによると、2021年のオレンジ(生食用も含む)の生産量はブラジル(約1621万トン)が世界1位。インド、中国も生産量が多く、米国も主要原産国として知られる。
オレンジの近況について、中央果実協会は「ミカンキジラミなどの小さな昆虫が媒介するカンキツグリーニング病(症状が進むと落果し、最終的に枯れてしまう病害)が、ブラジルや米国で今年に入り拡大している」として、生産量に影響が出ていると指摘。さらに、「米国ではハリケーンなどの天候不順も大きな影響を与えており、現在は輸出量よりも輸入量の方が目立っている」という。
相次ぐ販売停止
オレンジの世界的な供給不足は、日本国内の大手飲料メーカーにも波及している。
キリンビバレッジは5月、「トロピカーナ 100% まるごと果実感 オレンジ」(900ミリリットル)の販売を6月1日から7月31日まで休止すると発表。再開する8月1日納品分からは、希望小売価格を281円から378円に引き上げることも明らかにした。同社は「オレンジ果汁の調達が困難となっていることや、これまで行ってきた企業努力だけではコスト上昇分を吸収することが困難と判断した」としている。
また、雪印メグミルクは「Dole オレンジ100%」(1000ミリリットル、450ミリリットル)の販売を、4月上旬から休止。理由について同社は「ブラジルの今年1月の大雨の影響、米国の昨年のハリケーンの影響で世界的に(果汁用オレンジが)足りない状況になっており、安定的な原料確保と販売が難しいため」と説明し、「販売再開のめどは現在未定」(同社)だという。
中央果実協会は「今後は北半球から南半球に収穫期が移行するが、(果汁用オレンジの供給量は)逼迫した状況が当面の間は続くかもしれない」としている。(浅野英介)
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