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Sunday, December 31, 2023

半導体再建”ラストチャンス“…供給網強靱化へラピダス・TSMCの動きは?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

米中摩擦をはじめとする地政学リスクがくすぶり、戦略物資としての半導体の価値が一層高まっている。各国が半導体の供給量確保に巨額の財政出動をして製造拠点の誘致をする中、日本政府もかつて世界一だった半導体産業を再建しようと、官民を挙げた挑戦を続ける。この“ラストチャンス”を生かそうと、日本全体で半導体サプライチェーン(SC=供給網)を見直し、強靱(きょうじん)化を図る動きが目立ってきた。(編集委員・小川淳)

「地政学リスクが高まり、(半導体産業で)『水平分業型』が世界的に見直されている。SCという観点で考えた場合、自前主義の利点も取り込んだリスクの少ない安全なやり方を進める必要がある」。東京エレクトロンの元社長で、現在は最先端半導体の量産を目指すラピダス(東京都千代田区)を率いる東哲郎会長はこう指摘する。

日本の半導体産業は自社で設計から製造、販売までを行う「垂直統合型」で1980年代に世界を席巻した。だがファブレスや半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などが推進した国際的な水平分業型の潮流に乗り遅れ、衰退していった。

ラピダスの東会長は自前主義の利点も取り込んだ供給網の構築が必要と説く

ただ近年、米中摩擦などの地政学リスクの高まりやコロナ禍に伴う半導体不足に産業界は苦しんだ。同様の事態を防ぐためにもSCの強靱化が欠かせず、各国は自前での半導体産業の育成に迫られている。斎藤健経済産業相は2023年度補正予算で約2兆円の支援策を講じた半導体について「完全に戦略物資だ。産業基盤を揺るぎないものにし、競争力と経済成長につなげたい」と強調する。

ラピダスは回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の最先端のロジック半導体の量産に挑む。北海道千歳市に新工場を建設中で、25年に試作ライン完成、27年に量産開始を見込む。もともと線幅2ナノメートルの半導体の構想は19年に米IBMの幹部から東会長に持ちかけられた。東会長はIBMの意図について「彼らは最先端の領域で戦っており、(日本なら)信頼に基づいたビジネスをしてくれるという期待があったと思う。日本の技術力や技術者の質も評価されたようだ」と語る。

ラピダスにはトヨタ自動車NTTソニーグループなど業界を代表する大手8社が出資しており、最初の供給先はこれらの企業になる見通しだ。現在、日本が製造できるロジック半導体は線幅40ナノメートルにとどまる。東会長は日本に最先端のロジック半導体の製造拠点があることで、「技術が新しい需要を生み出す」と主張。日本の産業界と歩調を合わせた最先端半導体を開発することで、企業の革新を支援する。

熊本、TSMC今年量産

ファウンドリーの世界シェアで約6割を占めるTSMCは熊本県菊陽町でソニーグループ、デンソーと合弁で第1工場を建設中で、24年末に線幅12ナノメートルの半導体などの量産を開始する予定だ。総工費は約1兆円で、このうち半分程度を国が支援する。併せて隣接地に第2工場を建設することを検討しており、第1工場と同規模になる見通しだ。第3工場の建設も視野に入れる。

TSMCは米アリゾナ州で線幅4ナノメートルの半導体工場を建設中で、25年に稼働させる。さらに同3ナノメートルの第2工場の建設も決めている。一方、23年8月にはドイツに欧州初の同社工場の建設を表明し、27年の稼働を目指している。いずれも各国が大規模な財政支援と引き換えに誘致へとこぎ着けた。TSMCの台湾での工場は台湾西岸に集中しており、米中摩擦が過熱する中、世界の半導体SCにおいて地政学リスクの分散に貢献する。

23年11月に来日した台湾の王美花経済部長(経済相)は「海外への投資は主に台湾への経済的な影響と、安全保障面で政府が審査する。海外で工場を建てても先進的なものは全て台湾に残り、さらに規模を拡大している。生産の8割は台湾に残るだろう」と指摘。TSMCが各国で工場を建設しても、台湾の優位性は揺るがないと自信を示した。

宮城は27年、SBIが参画

握手する北尾SBIHD会長兼社長(左)と黃崇仁PSMC会長(23年10月)

また、世界6位のファウンドリーである台湾のパワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング(PSMC)もSBIホールディングス(HD)と組み、宮城県大衡村に線幅40ナノメートルなどの半導体工場を建設し、27年に稼働させることを決めている。SBIHDの北尾吉孝会長兼社長は「半導体を産業基盤として、強いエコシステム(生態系)を構築する。日本の半導体産業の復興に貢献したい」と力を込める。

世界生産額今年13%増 84兆円、最高更新 JEITA見通し

デジタル社会の浸透や自動車の電動化、生成人工知能(AI)の隆盛などに伴い、半導体の確保が各国の経済や社会のあり方を左右しかねない状況に拍車がかかっている。また、カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に不可欠なパワー半導体の需要も力強い。

電子情報技術産業協会(JEITA)によると、24年の半導体の世界生産額は23年見込み比13・1%増の5884億ドル(約84兆円)と過去最高を更新する見通しだ。30年には1兆ドル(約143兆円)にまで拡大するとの見方もある。地政学リスクの高まりと為替の円安という日本にとっての好機を生かし、SCの強靱化と需要の取り込みを確実に進める必要がある。


【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社

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不動産経済研 24年マンション供給予測 首都圏、10%増の3.1万戸に 東京23区は好調維持、近郊エリアの供給量増 - 住宅新報

 不動産経済研究所はこのほど、24年のマンション市場予測を発表した。それによると、首都圏のマンション供給は前年比10.7%増の約3万1000戸となる見込みだ。引き続き東京23区が中心となって市場をけん引。加えて神奈川県や埼玉県などが大幅に増加する予測だ。郊外は駅近物件が積極的に供給され、大幅減からの回復が期待できるという。

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FRBの常設流動性供給枠組み、この年末に初利用される可能性 - ロイター (Reuters Japan)

FRBの常設流動性供給枠組み、この年末に初利用される可能性

米連邦準備理事会(FRB)が2021年に導入した常設の流動性供給枠組み、スタンディング・レポ・ファシリティー(SRF)が今年初めて、年末の短期金融市場の需給ひっ迫時にその真価を発揮する局面を迎えるかもしれない。写真はワシントンのFRBで2022年1月撮影(2023年 ロイター/Joshua Roberts)

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が2021年に導入した常設の流動性供給枠組み、スタンディング・レポ・ファシリティー(SRF)が今年初めて、年末の短期金融市場の需給ひっ迫時にその真価を発揮する局面を迎えるかもしれない。

SRFは、一定要件を満たした金融機関から米国債などを担保として受け入れる代わりに、レポ取引の形で短期資金を供給する制度。

20年春に米国債投資家が深刻な流動性危機で打撃を受けたことを教訓として、自動的な市場安定装置の役割を果たす目的で打ち出された。19年の流動性ひっ迫時にFRBが対応を迫られたような、裁量的な資金供給措置を適宜工夫する負担を軽減する狙いもあった。

今のところ市場の流動性は潤沢で、SRFに対する本格的な利用ニーズは見られない。しかし市場関係者の1人は、この年末にSRFが初めて使われる可能性があると指摘。短期金利の指標の一つ、GCレポ金利が足元でSRFに適用される5.5%を上回っており、要件を満たす金融機関にとって「多少のインセンティブ」が生まれていると説明した。

もっともSRFが大々的に利用され、本当に効果があるかどうか試されるのは、FRBのバランスシート縮小がさらに進んでからになる公算が大きい。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」

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Saturday, December 30, 2023

令和5年12月27日 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部 | 総理の一日 - 首相官邸

 令和5年12月27日、岸田総理は、総理大臣官邸で第6回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開催しました。

 会議では、食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策の全体像等について議論が行われました。

 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。

「本日、食料・農業・農村基本法及び関連する法的枠組みの方向性と関連施策の工程表、そして、食料安全保障強化政策大綱の改訂を決定し、新しい農政展開の全体像を取りまとめました。
 現在、我が国の農林水産業が直面する、食料や肥料の世界的な需給変動、環境問題、国内の急激な人口減少と担い手不足といった、国内外の社会課題を正面から捉え、これらの克服を、地域の成長へとつなげていくべく、農政を抜本的に見直します。
 このため、農政の憲法と位置付けられる、食料・農業・農村基本法について、制定から四半世紀を経て初の本格的な改正を行います。あわせて、これを実現していくため、不測時の食料安全保障の強化、農地の総量確保と適正・有効利用、食品原材料の調達安定化、スマート農業の振興に向けた法整備を行います。
 坂本農林水産大臣においては、基本法改正案及び関連法案の来年の通常国会への提出を目指し、作業を加速するとともに、関係大臣と協力して、工程表に基づく各般の施策を着実に進めてください。」

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RIETI - 試練の国際貿易 停滞打破へ供給網組み替え - 経済産業研究所

米中新冷戦への突入により世界経済は、グローバル化が加速する時代から転換期に入った。世界の貿易量は、2008年のリーマン・ショックを境に停滞に転じ、最近もコロナ禍以前の水準に戻した後は低成長にとどまる。米トランプ政権により引き上げられた対中関税の多くはバイデン政権でも維持され、安全保障貿易管理が強化されている。

日本の海外生産比率も長期にわたり上昇が続いていたが、近年は頭打ちとなった。グローバルサプライチェーン(GSC、国境を越えた供給網)についても、ロシアのウクライナ侵攻により途絶のリスクが改めて認識されるようになった。

本稿では世界貿易の推移を振り返り現状把握の方法を論じ、今後の展望を議論する手がかりを探りたい。

◆◆◆

まず、輸出されるもののうち海外から輸入された投入の割合(輸出から国内付加価値を除いた分)によりグローバル化の推移を振り返ってみよう(図参照)。

各国の輸出に占める海外輸入投入文の割合
各国の輸出に占める海外輸入投入文の割合

(出所)経済協力開発機構(OECD)

生産過程で何度も部品や素材が国境を越える国際的フラグメンテーション(分散立地)はグローバル化の象徴だったが、近年は後退に向かっている。中国では加工組み立て型国際分業への参画を背景に世紀の変わり目に急上昇したが、その後は低下が続く。米国でも、上昇の後に低下し、米ソ冷戦が終結した1990年代半ばの水準に戻っている。

日本の場合、輸出金額はほぼ国内で創出された付加価値によるものだったため95年時点では約5%と低かった。その後、日本製造業の輸入中間財への依存が強まり、中国の水準に近い13〜16%に達するが、リーマン・ショック後には持続的上昇が止まっている。

世界経済分断への対処を論じるには、現状の正確な把握が前提となる。日本経済の貿易依存度は21世紀初頭に上昇したが、その後は頭打ちになった。貿易に占める中国の割合も近年低下に転じており、日本だけが中国に特に依存しているわけでもない。だが見かけ上の数字を見るだけでは十分でない。以下では3つのアプローチを取り上げたい。

第1に個別の品目について特定の国への依存度を計算し、GSC途絶のチョークポイント(要所)を特定する方法がある。その際、ミクロに細分された財ごとに、技術的な代替可能性や他産業への波及効果の観点からアプローチする必要がある。半導体生産の国内誘致は、この観点から重視されているのだろう。

第2に産業連関をたどることも重要だ。中間財の生産にも、輸入中間財が一部使われているからだ。スイスのビジネススクールIMDのリチャード・ボールドウィン教授らの研究によれば、中国は通常の輸入データで見ると約6割の米国製造業にとって最大の中間財供給国だが、投入産出連鎖を遡ると製薬業以外のすべての産業で首位となる。

第3にサービス化・デジタル化が進んだ先進国経済を論じるには、モノ以外も注視する重要性を指摘したい。サービス貿易・越境データ移転は、受発注、配送、決済、さらには製品や関連ソフトウエアの開発、広告宣伝、アフターサービスなど多くの局面で、モノの貿易、特にGSCによる精密な国際分業に関わる。

世界貿易の停滞はモノの貿易についてであり、サービス貿易は増勢を続けている。グローバル化の主役はモノの貿易から、知的財産を含むサービスの貿易やデータの越境移転に移った。

日本は、モノの貿易では中国に対し赤字を記録する一方、世界全体では持続的に赤字を計上するサービス貿易では、中国に対し知財を含め黒字を稼いでいる。モノの貿易に比べデータが限られるサービス貿易も含めて、相互依存関係を多面的に評価する必要がある。

◆◆◆

世界経済が分断に向かう中で、対応の中心は、複数の国から分散して調達し特定国への依存リスクを軽減(デリスキング)することにある。生産拠点の国内回帰(リショアリング)は多くの財について回答にならないし、大勢としては国内回帰が進んでいる国もほぼない。特に日本の場合、近い将来に高い確率で予想される巨大地震を考えれば、かえってリスクを高める。

複数の国から調達すると規模の経済性を弱めるし、軍事転用や人権侵害を避けるため、データの移転・共有によりアウトソーシング(外部委託)先に連なるサプライヤー群を精緻にモニター(監視)する必要が高まる。こうした中で、中国などによるデジタルデータの越境移転の制限や技術の強制移転は特に懸念される。

日本もモノの貿易は赤字に転じ知財や直接投資で稼ぐ国となったからには、知財、データ、サービスに関する国際ルールの強化に向け積極的役割を果たすことが求められる。データや技術の流れが分断されると、目先の生産だけでなく長期的にイノベーション(技術革新)にも悪影響を及ぼす。

だが世界は法の支配の原則が貫徹し市場経済で動く国ばかりではない。米中対立の狭間にある「グローバルサウス」とも呼ばれる国々は、種々の課題に直面している多様な国々だ。主要7カ国(G7)など先進諸国は、それぞれの国が抱える個別の課題解決にきめ細かく協力してGSCに引き込んでいくことが重要だ。分断が世界経済に与える影響を試算する際には、発展途上国群をどちらのブロックに入れて計算するかで結果が大きく左右される。

一部の先端機微技術の貿易管理が強まっても、大半の汎用品生産の国際分業は比較優位に基づき多くの国々と続いていく。

米ソ冷戦終結後、低賃金労働力に引き寄せられ生産の海外移転を進めてきた時代は、中国の政策転換と賃金高騰により終わった。モノの輸送費に着目した地理的近接性と低賃金の比較考量による立地選択よりも、GSCを再組織化・再構築し組み替える方向に転じている。予見可能性や透明性の高い法制度が安定して運用される国と濃密・精緻な分業を深める一方で、単純な作業や汎用品生産は低コスト国で幅広く展開する選別である。

ベルリンの壁崩壊と中国の世界貿易機関(WTO)加入を契機としたグローバル化の加速は終わり、世界的に最適地でモノを生産しコスト最小化を図ることは難しくなった。だが経済効率性追求の重要性は揺るがない。地政学的に厳しくなった制約条件の下で効率性の向上を目指す企業の挑戦と、それを応援する同志国による国際秩序強化などの政策努力に世界経済の先行きがかかっている。

日本企業は円高による国内生産の輸出競争条件の悪化には、アジア途上国への生産海外移転(オフショアリング)で対応した。また砦(とりで)が築かれると懸念された欧州市場統合には英国に、北米自由貿易協定(NAFTA)にはメキシコに、橋頭堡(きょうとうほ)となる生産拠点を築き活路を開いてきた。米中対立が冷戦状態に制御される前提だが、サービス貿易・データ移転の円滑化の下でGSCを大胆に組み替えることで世界貿易の新たな展開が見いだせるだろう。

2023年12月20日 日本経済新聞「経済教室」に掲載

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Friday, December 29, 2023

医薬品「まだ足りない」 医療用販売中止1万点、供給不安続く - 産経ニュース

塩野義製薬では「メジコン」の増産を急ぎ、12月中旬には計約2500万錠を送り出した=神戸市西区

医師によって処方される医療用医薬品の供給不安が続いている。薬剤師らでつくる団体が薬の供給状況を調べたところ、平成31年1月から令和5年11月末にかけて販売中止となった薬は累計で少なくとも約1万点に上ることが判明した。相次ぐ後発薬企業の不祥事に端を発し、新型コロナウイルスや季節性インフルエンザの流行によっても加速した薬不足。増産を急ぐ企業もあるが、現場からは「まだ足りない」との声が漏れる。問題の抜本的な解決には時間がかかりそうだ。

メジコンを緊急増産

12月14日、神戸市西区にある塩野義製薬の西日本物流センターから、せき止め錠「メジコン」を積んだトラックが次々と出発していった。日本医師会の調査で「入手困難な医薬品」として名前があがり、国が今秋、製造メーカーに緊急増産を依頼した薬の一つだ。

塩野義は10月から増産に乗り出し、12月に2500万錠が出荷された。工場を24時間稼働させ、6年の生産量は4年の2倍超となる3億2100万錠以上を計画する。

それでも現場からは「まだ足りない」の声があがる。メジコンは特許が切れているため、市場の約半数は後発薬メーカーが生産を担うが、すべての企業が増産できるわけではないからだ。

薬剤師らが資料公開

「飲みなれた味、形状の薬が手に入らないことに不安感が強くなる人や、混乱してしまう高齢者もいる」。札幌市の調剤薬局に勤める薬剤師、近野優さんはこの数年、患者に薬不足の状況を説明するたびに心を痛めてきた。

今に続く薬不足は新型コロナ禍の3年春頃に始まった。2年末から小林化工や日医工など後発薬メーカーによる不正が相次いで発覚、業務停止命令を受けて減産となり、代わりに注文が殺到した他の会社も生産力が追い付かなくなるなどしている。

近野さんと、広島県呉市の薬剤師、山本高大さんは一般社団法人「asTas(あすたす)」を運営し、国内製薬企業約200社の公表資料を集約した「医療用医薬品供給状況データベース(DSJP)」をインターネット上に公開している。

供給状況の推移をみると、後発薬メーカーの行政処分後に「限定出荷」や「供給停止」の薬の数が増えることが見て取れる。販売をやめた「販売中止」については、データのある元年1月から5年11月までで、累計9776アイテムに上った。

2人は日中の業務の後にボランティアでデータベースを作成する。医薬品の供給状況について継続して調査した資料は貴重で、医療関係者らが利用し、月間約140万回の閲覧数がある。山本さんは「多くの人に供給不足の現状を知ってもらい、考えてもらえるきっかけになれば」と話す。

需要と供給バランス崩壊

製薬企業から仕入れた医薬品を医療機関や薬局に提供する卸企業でも混乱は続く。大手医薬品卸、ケーエスケー(大阪市中央区)の営業担当者は連日、「品切れ」を知らせる伝票の束を前に、取引先への説明に追われている。

「似た薬効の、違うメーカーの薬はないですか」という切実な要望も届くが、本来、代わりとなりそうな薬も出荷調整されて、なかなか手に入らない。平谷洋取締役は「この数年で完全に需要と供給のバランスが崩れてしまった」と話す。

新システムを導入して、医療機関が少ない地域などへ配慮しながら、薬を入荷次第、これまでの納入実績に応じて公平に割り振るようにしているが、出荷調整された薬の数が減る気配はない。実は、若い社員の離職も目立つようになってきた。平谷氏は「私たちの社会的使命は、必要な薬を必要なときにお届けすることだが、それができないことが日常的に起きている」と悔しがる。

生産の役割分担必要

いつまで薬不足は続くのだろうか。製薬業界に詳しいデロイトトーマツコンサルティングの木戸太一ディレクターは「供給不安は年単位で続くだろう」と予測する。

抜本的な解決には、全国に200社近くあるとされる後発薬メーカーの過当競争を防ぎ、再編が必要だという意見も多いが、木戸氏は「私たちは、政府の検討会などで後発薬メーカーの間で連携を組成することを提案してきた。乱立するメーカーがおのおの好き勝手に薬をつくるのではなく、ある程度役割分担、生産する品目を決めていくことで、生産効率を上げることを目指す。業界全体として意思決定することが重要になる」と話す。

さらに「毎年のように後発薬の薬価が下がっていくことも、経営を厳しくし、価格の安い薬の増産を難しくする」とも指摘。国の審議委員会である中央社会保険医療協議会(中医協)が6年度薬価制度改革の骨子案で、特定の不採算品目について薬価を再算定する方針を了承したことから「こういった施策が長引く供給不安の解決にどう機能するか、注視していきたい」としている。(安田奈緒美)

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Thursday, December 28, 2023

ニプロのセフェム系薬、供給停止や自主回収相次ぐ - 日経メディカル

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Wednesday, December 27, 2023

FRBの常設流動性供給枠組み、この年末に初利用される可能性 - ニューズウィーク日本版

Michael S. Derby

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が2021年に導入した常設の流動性供給枠組み、スタンディング・レポ・ファシリティー(SRF)が今年初めて、年末の短期金融市場の需給ひっ迫時にその真価を発揮する局面を迎えるかもしれない。

SRFは、一定要件を満たした金融機関から米国債などを担保として受け入れる代わりに、レポ取引の形で短期資金を供給する制度。

20年春に米国債投資家が深刻な流動性危機で打撃を受けたことを教訓として、自動的な市場安定装置の役割を果たす目的で打ち出された。19年の流動性ひっ迫時にFRBが対応を迫られたような、裁量的な資金供給措置を適宜工夫する負担を軽減する狙いもあった。

今のところ市場の流動性は潤沢で、SRFに対する本格的な利用ニーズは見られない。しかし市場関係者の1人は、この年末にSRFが初めて使われる可能性があると指摘。短期金利の指標の一つ、GCレポ金利が足元でSRFに適用される5.5%を上回っており、要件を満たす金融機関にとって「多少のインセンティブ」が生まれていると説明した。

もっともSRFが大々的に利用され、本当に効果があるかどうか試されるのは、FRBのバランスシート縮小がさらに進んでからになる公算が大きい。

ロイター
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Tuesday, December 26, 2023

リサイクル供給の収縮が続けば、供給不足を加速 - トウシル

 リサイクルのための自動車の廃触媒が不足しているのは一時的な現象とされてきたが、その要因を探ると、この現象は今後も続く可能性があることがわかってきた。最新の『プラチナ四半期レポート』では、2024年のリサイクル供給は前年比で7%増えるとしたが、これは過去10年間の平均よりも17%少ない。リサイクル率が上がらなければ、2025年~2027年の間のプラチナ供給の不足分が年間約9.3トン増える可能性がある。

 2013年から2021年の間のプラチナのリサイクル供給は安定しており(図1)、年間平均で62.2トン近くあった。この時期は宝飾品からリサイクルされるプラチナが減り、それを自動車の廃触媒のリサイクルが補っていた。宝飾品リサイクルの減少は、プラチナ宝飾品需要が伸び悩んだため、新旧交換で持ち込まれる古い宝飾品が減ったからだ(図4)。そして廃触媒から回収されるプラチナが増えたのは、排ガス規制の強化に対応して触媒装置に担持されるPGMが増え続けていたためだった。しかし2022年以降、自動車触媒のリサイクルは激減している。 

 この原因として、当初はコロナ禍によって自動車生産が減り、また半導体不足問題で新車が足りず人々が車に長く乗るようになったためと見られていた。しかし2020年、2021年と8,000万台に達しなかった普通乗用車生産は、今年は9,000万台とされているにもかかわらず、自動車触媒のリサイクルは依然減り続けているのだ。この低いリサイクル率の原因として3つの要因が考えられる。

図1:プラチナのリサイクル供給は自動車触媒が主流

資料:2013年~2018年はSFA(オックスフォード)、2019年~2024年(予測)はメタルズフォーカス、WPICリサーチ

図2:廃車までの期間は延びている

資料:2009年~2012年はジョンソン・マッセイ、2013年~2018年はSFA(オックスフォード)、2019年~2024年(予測)はメタルズフォーカス、WPICリサーチ 注:使用年数は13年

 まず、第一に在宅勤務などで車の年間走行距離が約5%減ったこと(図7)。第二に車のコストが上がったこと。米国の金利上昇(現時点で+1.9%)と自動車価格の上昇(新車と中古車ともに2020年よりも2割以上アップ)、車の毎月のローン返済額は2020年以降22%上昇した(図6)。車の使用年数が延びれば、廃触媒がスクラップヤードに持ち込まれる時期が先延ばしになる。需要に対するリサイクル供給の割合を「リサイクル率」とすれば、PGMのリサイクル率は、2022年までは徐々に増えていた(図2)が、その後急落した。しかし、上記二つの要因で車の使用年数が1年から2年延びたとしても、実はリサイクル率は過去のパターンから大きく外れない。低いリサイクル率の第三の理由として、PGMバスケット価格が現時点で4割下がっている(図8)ため、リサイクル業者は値段が上がるまで処理を待っていると言われている。

 PGMは繰り返し利用できる特性を持つ材料だが、自動車触媒のリサイクル率が2024年になっても回復しなければ、2025年~2027年のプラチナ供給は28.0トン減る可能性があり、プラチナの供給リスクと供給不足が顕著になるだろう。さらにパラジウム市場は供給余剰になるまでの期間が延びる可能性もある。

2024年のプラチナのリサイクル供給は、10年平均を17%下回る

車の使用年数の延び、生活費の上昇、業者の廃触媒備蓄などが自動車触媒のリサイクル供給に圧力

自動車触媒リサイクルの現象で年間プラチナ供給は約9.3トン少なくなる

投資資産としてのプラチナ

- WPICのリサーチによるとプラチナ市場は2023年から供給不足が続く
- プラチナ供給は鉱山生産、リサイクル共に問題が多い
- 自動車のプラチナ需要は2024年もガソリン車の代替需要を主に成長が期待できる
- プラチナは世界の水素経済を支えるエネルギー転換に不可欠な重要鉱物
- プラチナ価格はゴールドとパラジウムに比べて大幅に低いまま

図3:廃車の減少で、2022年から2024年(予測)までのリサイクルからのプラチナ供給は減っている

資料:2013年~2018年はSFA(オックスフォード)、2019年~2024年(予測)はメタルズフォーカス、WPICリサーチ

図4:プラチナ宝飾品のリサイクルは新旧交換に不利な価格とプラチナ価格の下落で低迷

資料:2013年~2018年はSFA(オックスフォード)、2019年~2024年(予測)はメタルズフォーカス、WPICリサーチ

図5:米国やその他の地域では、2023年の新車・中古車価格は多少下がったが、2020年より2割以上高い

資料:連邦準備理事会、マンハイム、WPICリサーチ

図6:金利上昇と車価格上昇で毎月のローン支払いは2020年以来、22%上がっている

資料:連邦準備理事会、ブルームバーグ、 WPICリサーチ

図7:在宅勤務などで車の使用年数は延び、年間走行距離は5%減っている

資料:ブルームバーグ・インテリジェンス、WPICリサーチ

図8:パラジウムとロジウム価格の下落がPGMバスケット価格を4割押し下げたため、リサイクル業者は価格上昇を待って自動車触媒を蓄積している

資料:ブルームバーグ、WPICリサーチ

免責条項:当出版物は一般的なもので、唯一の目的は知識を提供することである。当出版物の発行者、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシルは、世界の主要なプラチナ生産会社によってプラチナ投資需要発展のために設立されたものである。その使命は、それによって行動を起こすことができるような見識と投資家向けの商品開発を通じて現物プラチナに対する投資需要を喚起すること、プラチナ投資家の判断材料となりうる信頼性の高い情報を提供すること、そして金融機関と市場参加者らと協力して投資家が必要とする商品や情報ルートを提供することである。

 当出版物は有価証券の売買を提案または勧誘するものではなく、またそのような提案または勧誘とみなされるべきものでもない。当出版物によって、出版者はそれが明示されているか示唆されているかにかかわらず、有価証券あるいは商品取引の注文を発注、手配、助言、仲介、奨励する意図はない。当出版物は税務、法務、投資に関する助言を提案する意図はなく、当出版物のいかなる部分も投資商品及び有価証券の購入及び売却、投資戦略あるいは取引を推薦するものとみなされるべきでない。発行者はブローカー・ディーラーでも、また2000年金融サービス市場法、Senior Managers and Certification Regime及び金融行動監視機構を含むアメリカ合衆国及びイギリス連邦の法律に登録された投資アドバイザーでもなく、及びそのようなものと称していることもない。

 当出版物は特定の投資家を対象とした、あるいは特定の投資家のための専有的な投資アドバイスではなく、またそのようなものとみなされるべきではない。どのような投資も専門の投資アドバイザーに助言を求めた上でなされるべきである。いかなる投資、投資戦略、あるいは関連した取引もそれが適切であるかどうかの判断は個人の投資目的、経済的環境、及びリスク許容度に基づいて個々人の責任でなされるべきである。具体的なビジネス、法務、税務上の状況に関してはビジネス、法務、税務及び会計アドバイザーに助言を求めるべきである。

 当出版物は信頼できる情報に基づいているが、出版者が情報の正確性及び完全性を保証するものではない。当出版物は業界の継続的な成長予測に関する供述を含む、将来の予測に言及している。出版者は当出版物に含まれる、過去の情報以外の全ての予測は、実際の結果に影響を与えうるリスクと不確定要素を伴うことを認識しているが、出版者は、当出版物の情報に起因して生じるいかなる損失あるいは損害に関して、一切の責任を負わないものとする。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシルのロゴ、商標、及びトレードマークは全てワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシルに帰属する。当出版物に掲載されているその他の商標はそれぞれの商標登録者に帰属する。発行者は明記されていない限り商標登録者とは一切提携、連結、関連しておらず、また明記されていない限り商標登録者から支援や承認を受けていることはなく、また商標登録者によって設立されたものではない発行者によって非当事者商標に対するいかなる権利の請求も行われない。

WPICのリサーチと第2次金融商品市場指令(MiFID II)

 ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(以下WPIC)は第2次金融商品市場指令に対応するために出版物と提供するサービスに関して内部及び外部による再調査を行った。その結果として、我々のリサーチサービスの利用者とそのコンプライアンス部及び法務部に対して以下の報告を行う。

 WPICのリサーチは明確にMinor Non-Monetary Benefit Categoryに分類され、全ての資産運用マネジャーに、引き続き無料で提供することができる。またWPICリサーチは全ての投資組織で共有することができる。

1.WPICはいかなる金融商品取引をも行わない。WPICはマーケットメイク取引、セールストレード、トレーディング、有価証券に関わるディーリングを一切行わない。(勧誘することもない。)

2.WPIC出版物の内容は様々な手段を通じてあらゆる個人・団体に広く配布される。したがって第2次金融商品市場指令(欧州証券市場監督機構・金融行動監視機構・金融市場庁)において、Minor Non-Monetary Benefit Categoryに分類される。WPICのリサーチはWPICのウェブサイトより無料で取得することができる。WPICのリサーチを掲載する環境へのアクセスにはいかなる承認取得も必要ない。

3.WPICは、我々のリサーチサービスの利用者からいかなる金銭的報酬も受けることはなく、要求することもない。WPICは機関投資家に対して、我々の無償のコンテンツを使うことに対していかなる金銭的報酬をも要求しないことを明確にしている。

 さらに詳細な情報はWPICのウェブサイトを参照。

 当和訳は英語原文を翻訳したもので、和訳はあくまでも便宜的なものとして提供されている。英語原文と和訳に矛盾がある場合、英語原文が優先する。

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【コラム】壊れた供給網、今こそスクラップ&ビルドの好機-クルパン - ブルームバーグ

数々のショックの一つを取り上げただけで、グローバル・サプライチェーンがいかに脆弱(ぜいじゃく)か分かるだろう。だが、気候変動や「中国からのデカップリング(切り離し)」、未曽有の技術開発、戦争、コスト上昇、労働力不足が重なり、逆に国際貿易を良い方向に変えるきっかけになる条件の組み合わせが今や整った。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が、過去4年の多くの混乱を引き起こした主因と考えられている。航空便運航や中国での工場操業の停止、特定製品の需要急増がサプライチェーンの途絶を招いた。脆弱性は既にそこに存在していたが、メーカーや運送委託者、物流業者、小売業者間のしばしば即応的な相互作用で覆い隠されていた。

  しかし、新型コロナが私たちに教えてくれたのは、すぐに必要なモノだけ残し在庫を効率化する ジャストインタイム在庫戦略が、標準からの逸脱に対応できるほど頑強でないということだ。

  トヨタ自動車は在庫を減らし効率化を推進したパイオニアだったが、この無駄を省くアプローチを皮肉にも10年ほど前に ひそかにやめた。その結果、日本の自動車メーカーは比較的無傷で半導体不足を乗り切った。その一方で、ライバルの米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターは、部品不足に対応するため製品のマイナーチェンジや工場のライン停止を余儀なくされた。

  テック業界でも同様の見直しが行われた。先頭に立ったのは米アップルであり、台湾積体電路製造(TSMC)やフォックスコン・テクノロジー・グループは、必要になるかなり前に調整を進めたサプライチェーン・プロバイダーの代表例だ。スマートフォン「iPhone」の製造工程は、TSMCがまずチップを供給し、次にフォックスコンがデバイスを組み立て、アップルが物流と販売を手掛ける。サプライチェーンの上流と中流、下流部門がそれぞれ抱える在庫の割合は過去10年でほぼ倍増した。

Just In Case

Just in time is no longer the mantra as industries learn to prepare for disasters and disruptions

Source: Bloomberg

  自動車から携帯電話に至るまで、このような在庫拡充が、新型コロナ感染拡大に伴う操業停止や労働力不足、戦争といった一時的なショックの影響を緩和してきた。しかし 最近の出来事は、在庫だけでは危機を乗り切るために十分でないことを立証した。

  現代のグローバル経済は、各国が保護主義的障壁を設けたり、全てを現地生産しようとしたりするのでなく、自国が比較的得意とする分野に集中すべきだというアダム・スミス流の自由市場理論に依拠している。20世紀後半の貿易自由化は、多くの国に富をもたらし、何十億もの人々を貧困から救い出した。

  中国を中心拠点にグローバル生産を集約させるハブアンドスポーク構造が結果的に生まれた。ソ連が崩壊し、世界が比較的平和になった後このモデルは勢いを増したが、グローバル航空・海上輸送ネットワークの急拡大なしにそれはあり得なかった。大型航空機とさらに巨大な輸送船の存在は、末端市場近くで現地生産を試みるより全てを1カ所で製造し、全世界に輸送する方が迅速かつ安価であることを物語っている。アダム・スミスは正しかったようだ。

  それでも2020年のパンデミック発生直後から旅客便がほぼ全面的に運航停止となり、このモデルがあまりにもろいことを示す最初の兆候となった。21年のスエズ運河の通航遮断は、海上交通の一つの水路がいかに不安定かを思い起こさせた。

  主要消費国と少数の生産拠点を結ぶ わずか数本の供給ラインに依存する現状もスエズ運河の当時の状況は浮き彫りにした。地球の反対側では、気候変動が干ばつを引き起こし、アジアと米州東部を結ぶパナマ運河の交通を妨げている。

  米中間の疑心暗鬼の高まりが救いになるかもしれない。

    国際的バイヤーは長年にわたり「生産の卵」を一つのかごに入れるのは危険だと知っていた。テック冷戦を含む緊張の高まりに伴い、顧客とサプライヤーは中国から離れ、インドやベトナム、メキシコへのシフトを余儀なくされている。中国に取って代わることはなかろうが、今後数年は同国から供給される製品の割合が減少すると予想される。

  中国を抜き人口世界一になったとされるインドが、そのビジネスの一部を担うだろうが、中国の深圳市や鄭州市に見られるようなメガファクトリーの時代は終わった。

  物流業者も適応する必要があろう。上海のような港からロサンゼルスといった米国の目的地までの航路は、かつて海上輸送で最も忙しいルートだった。そのため、海運会社は1隻の船に2万個を超えるコンテナを積み込むことができ、かつてないスケールメリットをもたらした。だが中国はもはや安価な労働力の供給元ではなく、むしろ不足しがちであり、ここ数年で利点は薄れつつある。

  今やカンボジアやフィリピン、ベトナムを結ぶ アジア域内路線が最も混雑している。このような輸送の多くは、半完成品を製造チェーンの次の工場に移動させるだけであり、アジア諸国が今やグローバル生産の主要な消費国という認識も背景にある。

  アジア地域のより小さい港への輸送分散は、より軽量な貨物をより小型の船で運ぶことを迫るだろう。グローバル産業は、より多くのドックがより多くの工場を結び、それぞれがより少ない製品を加工するサプライチェーンに取り組まざるを得ない。

  サプライチェーンの限界を試す危機に直面したことで、変革の緊急性が浮き彫りになった。その結果、国際貿易と製造業の枠組みは、はるかに頑強でバランスの取れたものに生まれ変わるだろう。

(ティム・クルパン氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題: Supply Chains Are Breaking. They’ll Rebuild Stronger: Tim Culpan(抜粋)

This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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世界のビットコインETFが保有する合計BTC、最大供給量の3.8%に=CoinGecko分析 - 株式会社CoinPost

最大供給量の3.8%に

CoinGeckoによると、世界中の既存の暗号資産(仮想通貨)ビットコイン上場投資信託(ETF)は、合計で約793,034 BTC(約5兆円)を保有しており、これはビットコインの最大供給量2,100万BTCのうちの3.8%に相当することがわかった(22日時点)。

現在、ETFプロバイダーが管理しているビットコインは全体のごく一部だが、米国によるビットコイン現物ETFの上場承認が得られれば、投資家の需要が増加すると予想されている。

Bloomberg、BuyBitcoinWorldwide等公開データを基に、ビットコイン先物およびスポットの上場投資信託(ETF)または上場商品(ETP)、現物に裏付けされたETFまたはETP、およびその他の組織におけるビットコインの保有量を調査:2023年12月22日時点 出典:CoinGecko

統計には、Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)も含まれている。GBTCはクローズエンド型ユニットトラストからETFへの転換を米国証券取引委員会(SEC)に申請中で、622,657 BTCを保有している。これはビットコインの最大供給量の3.0%に相当する。

GBTCを除外すると、既存のETFのBTC保有量は、ビットコイン最大供給量のわずか0.8%にすぎない。

世界中の他のビットコイン専用ETFは22あり、合計で144,222 BTCを保有している。GBTCはこれらのETFが保有するビットコインの3倍以上の規模だ。個別の保有量を見ると、Valour Bitcoin Carbon Neutral(1VBT)の2BTCから、Purpose Bitcoin ETF(BTCC)の35,523BTCまで様々である。

関連:「現物ETFはビットコインネットワークを破壊させうる」アーサー・ヘイズ氏の考察

企業が保有するBTC

一方、単一企業によるBTCの保有量も注目に値する。マイケル・セイラー氏率いるMicroStrategyとEOS開発会社のBlock.oneは、それぞれ約174,530 BTCと164,000 BTCを保有している。

関連:米上場企業マイクロストラテジーがビットコインを大量に買い続ける理由とは?

なお、暗号資産のバスケット型ETFは14あり、ビットコイン保有量は合計26,156 BTC。Bitwise 10 Crypto Index Fund(BITW)は、11,066 BTCで、クリプトバスケットETFの中で最も多くのビットコインを保有している。

また、BitMEXによると、2023年12月22日現在、約150の暗号通貨関連の上場取引型金融商品(ETP)があり、資産額は503億ドル(約7兆円)に達している。

関連:ビットコイン現物ETFの1月承認を米SECが示唆か 申請書類の提出期限を29日に設定=報道

GBTCとは

GBTC(グレースケール・ビットコイン・トラスト)は、2013年から市場に存在しているビットコイン専門の投資ファンドで、グレースケール・インベストメンツが運用している。運用資産残高(AUM)は2023年12月22日時点で270億ドル(3.8兆円)、管理手数料は2%。

GBTCは現在クローズドエンド型投資信託だが、市場の変動によってプレミアムやディスカウントで取引されることがあり、グレースケールはこれをオープンエンド型ETFに転換するためSECと交渉中だ。

ビットコイン関連の投資商品は多様だが、それぞれ異なる特徴とリスクを持っている。現物ETFはこれら既存のビットコイン投資商品の競争環境を刺激し、投資市場を広げ、多様な投資家を惹きつけることが期待されている。

関連:ビットコイン投資信託GBTCの「マイナス乖離」、反発の背景は

ビットコインETF特集

半減期特集

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Monday, December 25, 2023

北朝鮮供給の不良弾薬が発射前に爆発、ロシア軍兵士の自爆事故も - ニューズウィーク日本版

<弾薬不足が深刻なあまり北朝鮮製に手を出してしまった結果......>

ウクライナのロシア軍が、低品質な弾薬を使用して自分の首を絞める結果を招いている。弾薬の多くは、北朝鮮から供給されたものとみられる。

【写真】金正恩に「すり寄る」プーチンの弱々しい態度/過去のプーチンが見せた「真逆」の態度

ウクライナ軍参謀本部は先週、品質の悪い弾薬のせいでロシア軍の前線での戦闘効率が低下しており、時には自爆にもつながっていると報告した。

ウクライナ軍参謀本部の最新情報によれば、ロシア軍は、北朝鮮の低品質な弾薬を使わざるを得なくなっており、その結果、弾薬が銃や迫撃砲の中で破裂する事故が多発、装備の破損や兵士の負傷につながっているという。

ウクライナ軍参謀本部は、「弾薬の品質が悪いため、銃や迫撃砲の内部で破裂する事故がまれに発生しており、ロシア軍の兵器や人員に損失が出ている」と述べている。

このような品質不良の砲弾は特に、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川流域を本拠とする部隊で使われている。有名なミハイル・テプリンスキー大将が指揮を執る部隊だ。

コンテナ千個分以上の武器弾薬

この最新情報は、10月から11月にかけてのAP通信の報道と一致している。AP通信は、北朝鮮がウクライナでの戦争を支援するため、コンテナ1000個分以上の軍装備品や武器弾薬をロシアに送ったと報じていた。米国政府は、北朝鮮が交換条件としてロシアの軍事技術を求めた可能性が高いとして、この支援を非難していた。

CNNの報道によれば、ロシアは、2022年2月にウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、地上部隊の約87%、戦車の約66%を失っている。

侵攻前に36万人いた地上部隊のうち31万5000人が戦闘で失われた。または、3500両あった戦車のうち2200両、1万3600両あった歩兵戦闘車と装甲兵員輸送車のうち4400両が失われたと、アメリカのある情報機関は推定する。

この情報機関によれば、ロシアの作戦規模は縮小しており、開戦以来何も成果を上げていないと示唆する。

この評価によれば、ロシア軍には、訓練された人員、武器弾薬、軍装備品が慢性的に不足しているため、人員採用基準の緩和、ソビエト連邦時代の装備品の活用、徴兵制の強化といった手段に頼っているという。

また、ロシア国防省は数回にわたって新兵を募集しており、特定の予備役の年齢制限を引き上げている。
(翻訳:ガリレオ)

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Sunday, December 24, 2023

ロシアのLNG開発、タンカー不足が妨げに 制裁で供給後ずれも - ロイター (Reuters Japan)

[モスクワ 22日 ロイター] - ロシアのLNG開発が、タンカー不足や対ロ制裁措置で支障を来している。ロシアはパイプラインを経由した欧州向けLNG輸出の急減を補うために船舶輸送に活路を見いだそうとしているが、このもくろみが行き詰まっている形だ。アナリストや業界筋が明らかにした。

ロシアはLNGの市場シェアを現在の8%から2030年までに20%に拡大したい考え。しかし、ロシア最大のLNG生産会社ノバテク(NVTK.MM)は、米国が「アークティックLNG2」事業を制裁対象にしたことを受け、同事業で生産するLNG供給について、不可抗力条項の発動を宣言した。

欧州連合(EU)もロシア産LNG輸出に制裁措置を発動する可能性がある。

同事業では最初のLNGタンカーが来年1─3月に出航する予定だったが、業界筋によると、商業供給が来年4─6月以降に後ずれする見通し。

ロシアは輸送期間や輸送費を削減するため、アジア向けLNGカーゴを北極海航路で供給することを視野に入れている。この航路はスエズ運河経由と比べ、欧州からアジアへの輸送期間を最大40%短縮できるとみられているものの、分厚い海氷や低温環境が大きな課題だ。

輸送に適したアークティックLNG2向けのタンカーは、現時点でわずか3隻にとどまる。

また、ロシア政府系の開発対外経済銀行(VEB)の主任エコノミストは先週、ロシアでLNG輸出に適したインフラが整備できるのは30年以降になるとの見方を示した。

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A型とO型「異例の事態」供給要請が急増、献血呼びかけ 岐阜県赤十字センター - 岐阜新聞

「岐阜献血ルーム アクティブG」の採血室=3月、岐阜市橋本町

 東海4県と北陸3県の医療機関から、A型とO型の輸血用血液(赤血球製剤)の供給要請が急増している。安定的な供給には21日時点でA型は約600人分、O型は約660人分が必要な「異例の事態」で、岐阜県赤十字血液センターは献血を呼びかけている。

 センターによると、A型は11月に入ってから、O型は10月中旬から献血者が必要な人数を下回っている。医療機関の要請に応じられない事態には陥っていないが、この状況が続くと供給に支障が出る恐れがある。

 冬は例年、インフルエンザなどの風邪が流行するために献血者が減る傾向があった。さらに手術が増え、近年にない要請があったことが拍車をかけた。

 センターはあかなべ献血ルーム(岐阜市茜部中島)と岐阜献血ルームアクティブG(同市橋本町)のほか、献血バスが公共施設や企業、学校などに出向いて行っているが、献血バスの受け入れ施設数が新型コロナ禍前までの状態には戻っていない。センターの担当者は「年1、2回献血している方もここ数年献血していない方もこの機会に協力してほしい。献血を予約できるウェブ会員サービス『ラブラッド』も利用してもらえれば」と話している。

 献血ルームの受付時間や年末年始の対応、献血バスの運行予定はセンターのホームページで確認できる。

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薬を安定供給、官民で備蓄・増産計画 薬価優遇も試験導入 - 日本経済新聞

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Saturday, December 23, 2023

重要鉱物の供給網強化、資金力あるサウジと連携…アフリカ・中南米で鉱山開発 - 読売新聞オンライン

 政府は、重要鉱物の供給網強化に向け、サウジアラビアと連携する。資金力のあるサウジアラビアと協力し、電気自動車(EV)や蓄電池などに欠かせない重要鉱物が豊富なアフリカなどで、鉱山開発や権益獲得を進める。重要鉱物の安定確保につなげ、経済安全保障の強化を図る。

 斎藤経済産業相の23日からのサウジアラビア訪問に合わせ、経済産業省とサウジアラビア産業・鉱物資源省、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と現地の鉱山公社などが出資する「マナラ・ミネラルズ・インベストメント・カンパニー」が、それぞれ覚書を結ぶ方向で最終調整している。

 両政府は、アフリカや中南米を念頭に、第三国での鉱山への協調投資やプロジェクト創出を検討する。JOGMECとマナラ社は、2年以内に複数の協調投資の実現を目指す方向だ。

 対象は、自動車や電子機器に幅広く使われる銅や、蓄電池に不可欠なニッケルやリチウムなどの重要鉱物を想定している。鉱業分野の情報交換や人材育成、専門家の交流なども進める。

 日本は、JOGMECが鉱山探査の知見を有し、アフリカなどの資源国で、日本企業の投資を技術面や資金面で支援してきた実績がある。供給網強化では資源国との連携も強化しており、今夏にはアフリカ3か国と安定供給に向けた協力の拡充で一致している。

 産油国のサウジアラビアでは、脱炭素の動きが進むなか、石油などに次ぐ新たな産業の創出が求められている。技術や実績を持つ日本と協力して、国外での鉱山権益の取得に取り組む。

 重要鉱物を巡っては、中国企業がアフリカへ積極投資して鉱山権益の獲得を進め、中国の世界シェア(占有率)を高めている。

 日本は米欧のほか、アフリカなどの資源国とも関係を強化し、供給網の強化を図っている。サウジアラビアとの協力をきっかけに、産油国との結びつきも強めたい考えだ。

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Friday, December 22, 2023

モンテルカストAGの限定出荷によりLTRAの供給不安が深刻化 - 日経メディカル

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Thursday, December 21, 2023

米、半導体供給網などへの調査開始 国家安全保障上の懸念に対応 - ロイター (Reuters Japan)

米、半導体供給網などへの調査開始 国家安全保障上の懸念に対応

米商務省は21日、米半導体業界のサプライチェーン(供給網)および国防産業基盤に関する調査を開始すると発表した。2月17日撮影(2023年 ロイター/Florence Lo/Illustration)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米商務省は21日、米半導体業界のサプライチェーン(供給網)および国防産業基盤に関する調査を開始すると発表した。中国製半導体に起因する国家安全保障上の懸念に対応するためという。

今回の調査は米企業がいわゆるレガシー半導体(成熟技術を使って製造する半導体)をどのように調達しているのかを特定することを目的としており、1月から開始される予定。中国がもたらす「国家安全保障上のリスクを減らす」ことを目指すとし、米重要産業のサプライチェーンにおける中国製レガシー半導体の使用と調達に焦点を当てるという。

商務省がこの日に発表した報告書によると、中国は過去10年間で推定1500億ドルの補助金を中国の半導体業界に与え、「米国など海外の競争相手にとって世界的に不公平な競争条件」を作り出してきたという。

レモンド商務長官は「ここ数年間、われわれは(中国が)自国の企業のレガシー半導体の生産を拡大させる懸念すべき慣行の潜在的な兆しを目の当たりにしてきた」とし、これが米企業の競争力を阻害しているとの認識を示した。

在ワシントン中国大使館は現時点でコメントしていない。

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沢井、ランソプラゾールとカルベジロールを自主回収 - 日経メディカル

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Tuesday, December 19, 2023

原油先物続伸、紅海での船舶攻撃で供給懸念 - ロイター (Reuters Japan)

原油先物続伸、紅海での船舶攻撃で供給懸念

アジア時間の原油先物は続伸している。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で船舶を攻撃し、海上輸送ルートの迂回(うかい)を余儀なくしていることが背景。写真はロッテルダムで2008年10月撮影(2023年 ロイター/Ho New)

[19日 ロイター] - アジア時間の原油先物は続伸している。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で船舶を攻撃し、海上輸送ルートの迂回(うかい)を余儀なくしていることが背景。

0112GMT(日本時間午前10時12分)時点で、北海ブレント先物は0.17ドル(0.2%)高の1バレル=78.12ドル。19日に満期を迎える米WTI原油先物は0.14ドル高の72.61ドル。より活発に取引されている2月限は0.09ドル(0.1%)高の72.91ドル。

前日は北海ブレント、米WTIともに1%超上昇していた。

英石油大手BP(BP.L)は紅海を通過する全ての運航を一時停止。石油タンカー会社フロントライン(FRO.OL)も、同社の船舶が紅海の通航を見合わせると発表し、影響がエネルギー船舶にも波及している。

また、イランではオウジ石油相が18日、全国的なガソリンスタンドの混乱がサイバー攻撃によるものだと確認した。

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A New-York-based correspondent covering the U.S. crude market and member of the energy team since 2018 covering the oil and fuel markets as well as federal policy around renewable fuels. Contact: 646-737-4649

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Monday, December 18, 2023

シェアハウス、供給増加傾向 - 株式会社全国賃貸住宅新聞社

一般社団法人日本シェアハウス連盟,オークハウス,リビタ,JR東日本ソーシャルデザイン

シェアハウス、供給増加傾向

 2023年のシェアハウス市場は、インバウンド需要の回復で好転している。運営棟数は22年比で増加傾向にある。一方で、新型コロナウイルスの収束で入居率が高まっているものの、集客への不安はまだぬぐえないようだ。

外国人需要復調で入居率回復

インバウンド再開

 シェアハウスの集客においては、海外からの反響が回復している。

 一般社団法人日本シェアハウス連盟(東京都渋谷区)が1日に発表した「シェアハウス市場調査2023年度版」によると、全国の物件数は5808棟で22年度比201棟の増加となった。1棟あたりの全国平均ベッド数は10.5床。中・小規模の物件が多くを占める。

 同調査は、5月末時点でシェアハウスのポータルサイトや運営事業者のウェブサイト、SNS上に掲載されている物件数を収集したもの。新規開設以外にも、集客を再開した物件や新たにSNSで集客を開始した物件も含まれる。調査期間は2~5月。対象は、1カ月以上の入居を条件とした物件に限定している。

 高橋圭一代表理事は「3月以降、海外からの問い合わせが急増し、7月ごろまでその状況が続いたという運営事業者の声を多く聞く」と話す。

 一方で、国内在住の入居者の回復は、コロナ下前の19年と比較し7~8割程度だ。インバウンド需要の回復だけでは、安定性のある集客への不安が残る。光熱費の高騰を踏まえると、運営事業者側は家賃の引き上げを検討したいところだが、市場全体での大幅な家賃上昇はみられないという。シェアハウス事業の積極展開は控え、現状維持とする傾向があるとした。

都内は飽和状態か

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朝日村 水不足に備え浄化装置を新設 水の供給力アップへ|NHK 長野県のニュース - nhk.or.jp

例年、1月からの2か月間は水不足に陥りやすいとして、朝日村は、沢の水を水道水に変える小型の浄化装置を新たに設置し、水の供給力を高める対応を始めました。

朝日村の90%以上の世帯に水を供給している「大尾沢浄水場」では、湧き水と沢の水を水道水に変えていますが、例年、雨が少なくなる1月と2月は水不足に陥りやすいという課題がありました。
このため朝日村は、浄水場の敷地内に沢の水を水道水に変える小型の浄化装置を、18日、新たに2台設置しました。
これに伴って、一日に供給できる水道水は100トンほど増やせるとしていて、これはふだん供給している水道水の4%程度にあたるとしています。
朝日村建設環境課の大池守課長は「浄化装置の設置によって断水の心配はなくなると考えている。ただ、来月と再来月は渇水の時期に入るため、節水をお願いしたい」と呼びかけています。

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シェアハウス、供給増加傾向 - 株式会社全国賃貸住宅新聞社

一般社団法人日本シェアハウス連盟,オークハウス,リビタ,JR東日本ソーシャルデザイン

シェアハウス、供給増加傾向

 2023年のシェアハウス市場は、インバウンド需要の回復で好転している。運営棟数は22年比で増加傾向にある。一方で、新型コロナウイルスの収束で入居率が高まっているものの、集客への不安はまだぬぐえないようだ。

外国人需要復調で入居率回復

インバウンド再開

 シェアハウスの集客においては、海外からの反響が回復している。

 一般社団法人日本シェアハウス連盟(東京都渋谷区)が1日に発表した「シェアハウス市場調査2023年度版」によると、全国の物件数は5808棟で22年度比201棟の増加となった。1棟あたりの全国平均ベッド数は10.5床。中・小規模の物件が多くを占める。

 同調査は、5月末時点でシェアハウスのポータルサイトや運営事業者のウェブサイト、SNS上に掲載されている物件数を収集したもの。新規開設以外にも、集客を再開した物件や新たにSNSで集客を開始した物件も含まれる。調査期間は2~5月。対象は、1カ月以上の入居を条件とした物件に限定している。

 高橋圭一代表理事は「3月以降、海外からの問い合わせが急増し、7月ごろまでその状況が続いたという運営事業者の声を多く聞く」と話す。

 一方で、国内在住の入居者の回復は、コロナ下前の19年と比較し7~8割程度だ。インバウンド需要の回復だけでは、安定性のある集客への不安が残る。光熱費の高騰を踏まえると、運営事業者側は家賃の引き上げを検討したいところだが、市場全体での大幅な家賃上昇はみられないという。シェアハウス事業の積極展開は控え、現状維持とする傾向があるとした。

都内は飽和状態か

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Sunday, December 17, 2023

研修医、病気装い糖尿病薬入手 供給不足の「やせ薬」―東大病院 - 時事通信ニュース

2023年12月15日18時00分

東京大付属病院=東京都文京区

東京大付属病院=東京都文京区

 東京大付属病院(東京都文京区)の臨床研修医2人が、病気ではないのにお互いに処方箋を発行して糖尿病治療薬を入手していたことが15日、同病院への取材で分かった。インターネットで「やせ薬」などと紹介されている「GLP―1受容体作動薬」で、供給不足が問題となっている。

減量目的の糖尿薬利用控えて 日医が注意喚起

 東大病院によると、2人はお互いに対して1回ずつ処方箋を発行し、院外薬局で薬を入手。電子カルテに残る発行記録を削除していた。個人で消費可能な処方量だったことから、自己使用目的とみられる。病院側は刑事告発はせず、指導にとどめたとしている。

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研修医、病気装い糖尿病薬入手 供給不足の「やせ薬」―東大病院:時事ドットコム - 時事通信ニュース

2023年12月15日18時00分

東京大付属病院=東京都文京区

東京大付属病院=東京都文京区

 東京大付属病院(東京都文京区)の臨床研修医2人が、病気ではないのにお互いに処方箋を発行して糖尿病治療薬を入手していたことが15日、同病院への取材で分かった。インターネットで「やせ薬」などと紹介されている「GLP―1受容体作動薬」で、供給不足が問題となっている。

減量目的の糖尿薬利用控えて 日医が注意喚起

 東大病院によると、2人はお互いに対して1回ずつ処方箋を発行し、院外薬局で薬を入手。電子カルテに残る発行記録を削除していた。個人で消費可能な処方量だったことから、自己使用目的とみられる。病院側は刑事告発はせず、指導にとどめたとしている。

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医薬品の供給不足深刻化、政府が増産要請も産業構造改革が必須な理由|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

医薬品の供給不足が深刻化している。厚生労働省は国内の医薬品の8割を後発薬にする方針を掲げてきた。一方、後発薬メーカーでは、収益性を高めにくい産業構造も遠因に品質不正問題が頻発。生産が滞り供給不足に陥った。政府はメーカーに増産要請を出すとともに産業構造の改善に向けた検討を進める。医薬品の持続的な安定供給には国と企業が一体となった長期的な対応が求められる。(安川結野、大阪・市川哲寛)

後発薬、品質不正相次ぐ 少量多品目生産で効率悪く

医薬品の供給不足が表面化し始めたのは2021年ごろ。後発薬メーカーで製造や品質の管理不正などが相次いで発覚したことに端を発する。これにより業務停止処分が10以上の後発薬メーカーに出され、長期的な製造、出荷の縮小が起きた。

厚労省は増加する医療費を抑える目的で先発品より価格が低い後発薬の使用拡大を進めてきた。21年度の国内における後発薬の占める割合は数量ベースで約8割に到達。政府の後押しもあり後発薬は医療を大きく支えてきたが、その分、生産停止や縮小の影響も拡大した。さらに新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症の流行も重なり、医薬品供給不足が深刻化。今もその状態が続く。

後発薬メーカーは、生産効率が低い少量多品目生産に陥る傾向にある。要因として、特許が切れた複数の品目を同時期に開発・市場投入することにより、手がける製品が多品目となる。また医薬品の安定供給義務により一定期間は出荷が求められるため、少量でも生産し続けなければならないことも挙げられる。品質軽視という問題はもちろん、開発・供給するほど生産効率が悪化する構造が、不正を招いた側面もある。

また後発薬は複数のメーカーが取り扱う。医薬品の効果そのものでの差別化が難しく、医療機関や薬局への納入価格で差別化を図ることになる。納入価格を下げると薬価改定で製品の価格引き下げを招き、さらに収益性が下がるという悪循環に陥る。

医薬品の供給不足の解消について武見敬三厚労相は、「後発医薬品を中心としたこの供給不安について、少量多品目生産といった産業構造上の課題も指摘されており、検討会での検討を進める」と方向性を示す。収益性や産業構造の見直しを進めるため、厚労省の専門家会議は後発薬の安定供給に向けた議論を開始。安定供給に貢献しない企業の新規参入を抑制するほか、医療上の必要性や市場シェアの低い品目の整理や、企業の再編促進策などの議論が進む。後発薬の使用推進の中で起きた供給不足という問題の解決に向け、年内にも対策案をとりまとめる見込みだ。

在庫切り崩し・新工場建設で対応

医薬品供給不足が長期化する中、増産要請に応えるため、メーカーは対応を急ぐ。後発医薬品大手では需要の多い品目での増産を続ける。さらなる増産に向け新工場建設などを進める。

沢井製薬(大阪市淀川区)は国から増産要請のあったせき止め薬や風邪薬などは「急な増産は難しいものもある」(木村元彦社長)として適正在庫30%増で対応している。それでも在庫切り崩し局面にあり、適正在庫への増産を検討している。限定出荷品目で20%増産する製品では12月の国の要請期間終了後も増産を続ける方針。

第二九州工場(福岡県飯塚市)では新固形剤棟を建設中で24年に出荷開始予定。旧小林化工を引き継いだトラストファーマテック(福井県あわら市)では6月に出荷を始めた。これらで年産60億錠の増産で全社で年産215億錠の規模になる。品質確認検査で不正があった胃炎薬「テプレノン」は全社売上高の1%未満で、回収などによる大きな影響はない見込み。「会社全体として反省する。業界トップを走るつもりで計画見直しはない」(同)と引き締める。

東和薬品もせき止め薬などを1年前の50%増で生産している。全社では3年連続で年間10億規模以上の増産体制を築いて余力はほとんどなく「残業代、休日出勤代を出せば増産できるわけでない」(吉田逸郎社長)と既存工場での増産は厳しい状況を説明する。

山形工場(山形県上山市)では24年稼働予定で年産能力35億錠の第三固形製剤棟と25年稼働予定で同バイアル550万本の第二無菌製剤棟が完成した。総投資額は549億円。「経営上できない規模を借り入れた」(同)と経営負荷は大きい。

グループ会社のジェイドルフ製薬(滋賀県甲賀市)が沖縄県初の医療用医薬品原薬工場を東村に24年4月の稼働を目指す。パイナップルの茎から痔疾治療薬や壊死組織除去剤の原薬を抽出する。国内で最終製品までの一貫生産体制を築いて安定供給につなげる。

吉田社長は「各社が増産への課題を持つ。業界挙げて取り組まないと長期的には不安定だ」と捉え、安定供給に向けて産業構造のあり方などで国や行政の支援を求める方針。

富山市の後発薬メーカーの日医工は、販売品目の集約化や同種同効成分製剤への統合を進め、生産効率の向上を図る。グループ内で重複していた製品の製造を一拠点に集約して生産効率向上を図るなど、品質管理や生産体制を見直す。

一方で、短期的な対応は限界がある。後発薬メーカーの関係者からは、「原薬購入は年間契約が多い。政府からの増産要請に対応するにも調達量を増やす交渉は難しく、交渉できたとしても十分な量を確保できるかは不透明だ」という声が挙がる。政府の検討会でも、医薬品の原料となる原薬について、安全性の基準や国内の薬価の観点から、中国やインドへの依存度が高いことが指摘される。原薬調達においては短期的な課題解決は難しいものの、既存地域から東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など輸入元の多元化を進めるほか、国内での原薬製造能力拡大などに長期的に取り組むなど、改善が求められる。

官民で産業構造改善必須

医薬供給不足の一因となった後発薬メーカーの不正問題の背景には、ある程度効率を度外視して製造と出荷を優先せざるを得ないという後発薬の産業構造がある。医療現場に不可欠な後発薬を持続的に安定供給するには、産業構造の改善が必要だ。

また不正防止には品質を重視するという後発薬業界の風土の醸成も欠かせない。政府検討会では、後発薬メーカーに対して医薬品製造品質管理基準(GMP)の運用ができる人材の育成の仕組みや、品質に対する取り組みを可視化できる評価指標の活用などが議論される。政府提案に後発薬メーカーが協力して取り組むなど、医薬品の安定供給に向け政府と後発薬メーカーが一体となった対応が求められる。

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Saturday, December 16, 2023

石油投資家、供給過剰や需要巡る懸念抱え24年へ=アナリスト - ニューズウィーク日本版

Muyu Xu Stephanie Kelly Alex Lawler

[シンガポール/ニューヨーク/ロンドン 14日 ロイター] - 石油投資家は、供給過剰や経済成長の鈍化、価格変動を誘発する可能性のある中東情勢の緊迫化など複数の懸念を抱えて2024年を迎えることになりそうだ。

北海ブレント原油の23年の平均価格は1バレル=80ドル。22年はロシアのウクライナ侵攻を機にロシア産の供給が中断し、価格は約100ドル超に急騰するなど変動が激しかった。

今年の需要は日量1億バレルと過去最高水準に上ったが、ドル高と石油輸出国機構(OPEC)非加盟産国の生産が堅調で、相場の上げ幅は抑えられている。

ロイターがエコノミストおよびアナリスト計30人を対象に調査したところ、24年の北海ブレント原油の平均価格は84.43ドルと予想された。

エネルギー調査会社のライスタッド・エナジー、ケプラー、ウッド・マッケンジー、米金融大手JPモルガンは、24年の石油供給はOPEC非加盟国の産油量にけん引され、日量120万─190万バレル増加するとの見方を示した。

マッコーリーのエネルギー・アナリストは「来年は四半期ごとに供給過剰になると見込んでいる」と述べた。

投資家は、24年第1四半期(1─3月)の供給データに注目しており、OPECと非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が計画している日量220万バレルの自主的減産を実行するかどうかを見極める構えだ。

ウッド・マッケンジーのアナリストは「OPECプラスの自主的減産の順守状況を評価できるため、1─3月期がカギとなるだろう」と述べた。

アナリストらは、制裁下でもロシア産およびイラン産の石油は世界市場に流入し続け、原油価格を押し下げるとの見方を示している。

イランの現在の産油量は日量340万バレルだが、24年3月までに360万バレルに拡大することを目標としている。

ブラジル、ガイアナ、米国を中心としたOPEC非加盟国が24年の生産をけん引し、軽質スイート原油の供給を押し上げるとみられている。一方、OPECプラスの減産で、中質サワー原油の供給は引き続き引き締まる見込み。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

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石油投資家、供給過剰や需要巡る懸念抱え24年へ=アナリスト - ニューズウィーク日本版

Muyu Xu Stephanie Kelly Alex Lawler

[シンガポール/ニューヨーク/ロンドン 14日 ロイター] - 石油投資家は、供給過剰や経済成長の鈍化、価格変動を誘発する可能性のある中東情勢の緊迫化など複数の懸念を抱えて2024年を迎えることになりそうだ。

北海ブレント原油の23年の平均価格は1バレル=80ドル。22年はロシアのウクライナ侵攻を機にロシア産の供給が中断し、価格は約100ドル超に急騰するなど変動が激しかった。

今年の需要は日量1億バレルと過去最高水準に上ったが、ドル高と石油輸出国機構(OPEC)非加盟産国の生産が堅調で、相場の上げ幅は抑えられている。

ロイターがエコノミストおよびアナリスト計30人を対象に調査したところ、24年の北海ブレント原油の平均価格は84.43ドルと予想された。

エネルギー調査会社のライスタッド・エナジー、ケプラー、ウッド・マッケンジー、米金融大手JPモルガンは、24年の石油供給はOPEC非加盟国の産油量にけん引され、日量120万─190万バレル増加するとの見方を示した。

マッコーリーのエネルギー・アナリストは「来年は四半期ごとに供給過剰になると見込んでいる」と述べた。

投資家は、24年第1四半期(1─3月)の供給データに注目しており、OPECと非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が計画している日量220万バレルの自主的減産を実行するかどうかを見極める構えだ。

ウッド・マッケンジーのアナリストは「OPECプラスの自主的減産の順守状況を評価できるため、1─3月期がカギとなるだろう」と述べた。

アナリストらは、制裁下でもロシア産およびイラン産の石油は世界市場に流入し続け、原油価格を押し下げるとの見方を示している。

イランの現在の産油量は日量340万バレルだが、24年3月までに360万バレルに拡大することを目標としている。

ブラジル、ガイアナ、米国を中心としたOPEC非加盟国が24年の生産をけん引し、軽質スイート原油の供給を押し上げるとみられている。一方、OPECプラスの減産で、中質サワー原油の供給は引き続き引き締まる見込み。

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Friday, December 15, 2023

医薬品の供給不足深刻化、政府が増産要請も産業構造改革が必須な理由|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

医薬品の供給不足が深刻化している。厚生労働省は国内の医薬品の8割を後発薬にする方針を掲げてきた。一方、後発薬メーカーでは、収益性を高めにくい産業構造も遠因に品質不正問題が頻発。生産が滞り供給不足に陥った。政府はメーカーに増産要請を出すとともに産業構造の改善に向けた検討を進める。医薬品の持続的な安定供給には国と企業が一体となった長期的な対応が求められる。(安川結野、大阪・市川哲寛)

後発薬、品質不正相次ぐ 少量多品目生産で効率悪く

医薬品の供給不足が表面化し始めたのは2021年ごろ。後発薬メーカーで製造や品質の管理不正などが相次いで発覚したことに端を発する。これにより業務停止処分が10以上の後発薬メーカーに出され、長期的な製造、出荷の縮小が起きた。

厚労省は増加する医療費を抑える目的で先発品より価格が低い後発薬の使用拡大を進めてきた。21年度の国内における後発薬の占める割合は数量ベースで約8割に到達。政府の後押しもあり後発薬は医療を大きく支えてきたが、その分、生産停止や縮小の影響も拡大した。さらに新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症の流行も重なり、医薬品供給不足が深刻化。今もその状態が続く。

後発薬メーカーは、生産効率が低い少量多品目生産に陥る傾向にある。要因として、特許が切れた複数の品目を同時期に開発・市場投入することにより、手がける製品が多品目となる。また医薬品の安定供給義務により一定期間は出荷が求められるため、少量でも生産し続けなければならないことも挙げられる。品質軽視という問題はもちろん、開発・供給するほど生産効率が悪化する構造が、不正を招いた側面もある。

また後発薬は複数のメーカーが取り扱う。医薬品の効果そのものでの差別化が難しく、医療機関や薬局への納入価格で差別化を図ることになる。納入価格を下げると薬価改定で製品の価格引き下げを招き、さらに収益性が下がるという悪循環に陥る。

医薬品の供給不足の解消について武見敬三厚労相は、「後発医薬品を中心としたこの供給不安について、少量多品目生産といった産業構造上の課題も指摘されており、検討会での検討を進める」と方向性を示す。収益性や産業構造の見直しを進めるため、厚労省の専門家会議は後発薬の安定供給に向けた議論を開始。安定供給に貢献しない企業の新規参入を抑制するほか、医療上の必要性や市場シェアの低い品目の整理や、企業の再編促進策などの議論が進む。後発薬の使用推進の中で起きた供給不足という問題の解決に向け、年内にも対策案をとりまとめる見込みだ。

在庫切り崩し・新工場建設で対応

医薬品供給不足が長期化する中、増産要請に応えるため、メーカーは対応を急ぐ。後発医薬品大手では需要の多い品目での増産を続ける。さらなる増産に向け新工場建設などを進める。

沢井製薬(大阪市淀川区)は国から増産要請のあったせき止め薬や風邪薬などは「急な増産は難しいものもある」(木村元彦社長)として適正在庫30%増で対応している。それでも在庫切り崩し局面にあり、適正在庫への増産を検討している。限定出荷品目で20%増産する製品では12月の国の要請期間終了後も増産を続ける方針。

第二九州工場(福岡県飯塚市)では新固形剤棟を建設中で24年に出荷開始予定。旧小林化工を引き継いだトラストファーマテック(福井県あわら市)では6月に出荷を始めた。これらで年産60億錠の増産で全社で年産215億錠の規模になる。品質確認検査で不正があった胃炎薬「テプレノン」は全社売上高の1%未満で、回収などによる大きな影響はない見込み。「会社全体として反省する。業界トップを走るつもりで計画見直しはない」(同)と引き締める。

東和薬品もせき止め薬などを1年前の50%増で生産している。全社では3年連続で年間10億規模以上の増産体制を築いて余力はほとんどなく「残業代、休日出勤代を出せば増産できるわけでない」(吉田逸郎社長)と既存工場での増産は厳しい状況を説明する。

山形工場(山形県上山市)では24年稼働予定で年産能力35億錠の第三固形製剤棟と25年稼働予定で同バイアル550万本の第二無菌製剤棟が完成した。総投資額は549億円。「経営上できない規模を借り入れた」(同)と経営負荷は大きい。

グループ会社のジェイドルフ製薬(滋賀県甲賀市)が沖縄県初の医療用医薬品原薬工場を東村に24年4月の稼働を目指す。パイナップルの茎から痔疾治療薬や壊死組織除去剤の原薬を抽出する。国内で最終製品までの一貫生産体制を築いて安定供給につなげる。

吉田社長は「各社が増産への課題を持つ。業界挙げて取り組まないと長期的には不安定だ」と捉え、安定供給に向けて産業構造のあり方などで国や行政の支援を求める方針。

富山市の後発薬メーカーの日医工は、販売品目の集約化や同種同効成分製剤への統合を進め、生産効率の向上を図る。グループ内で重複していた製品の製造を一拠点に集約して生産効率向上を図るなど、品質管理や生産体制を見直す。

一方で、短期的な対応は限界がある。後発薬メーカーの関係者からは、「原薬購入は年間契約が多い。政府からの増産要請に対応するにも調達量を増やす交渉は難しく、交渉できたとしても十分な量を確保できるかは不透明だ」という声が挙がる。政府の検討会でも、医薬品の原料となる原薬について、安全性の基準や国内の薬価の観点から、中国やインドへの依存度が高いことが指摘される。原薬調達においては短期的な課題解決は難しいものの、既存地域から東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国など輸入元の多元化を進めるほか、国内での原薬製造能力拡大などに長期的に取り組むなど、改善が求められる。

官民で産業構造改善必須

医薬供給不足の一因となった後発薬メーカーの不正問題の背景には、ある程度効率を度外視して製造と出荷を優先せざるを得ないという後発薬の産業構造がある。医療現場に不可欠な後発薬を持続的に安定供給するには、産業構造の改善が必要だ。

また不正防止には品質を重視するという後発薬業界の風土の醸成も欠かせない。政府検討会では、後発薬メーカーに対して医薬品製造品質管理基準(GMP)の運用ができる人材の育成の仕組みや、品質に対する取り組みを可視化できる評価指標の活用などが議論される。政府提案に後発薬メーカーが協力して取り組むなど、医薬品の安定供給に向け政府と後発薬メーカーが一体となった対応が求められる。

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Thursday, December 14, 2023

ミャンマーでケシ栽培急増、アフガン抜き世界最大供給国に 国連報告 - MSN

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Wednesday, December 13, 2023

韓国とオランダ 「半導体同盟」を明文化=供給網で協力強化へ - 聯合ニュース

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Tuesday, December 12, 2023

原油先物は軟調継続、供給過剰懸念で 米FOMC待ち - ロイター (Reuters Japan)

原油先物は軟調継続、供給過剰懸念で 米FOMC待ち

 12月13日、アジア時間の原油先物は軟調継続。前日は供給過剰や需要への懸念から3%超下落し、半年ぶりの安値をつけた。写真はインドネシアの中部ジャワ州にある石油精製所で2016年1月撮影(2023 ロイター/Darren Whiteside)

[北京 13日 ロイター] - アジア時間の原油先物は軟調継続。前日は供給過剰や需要への懸念から3%超下落し、半年ぶりの安値をつけた。

0207GMT(日本時間午前11時07分)時点で北海ブレント先物2月限は0.01ドル安の1バレル=73.23ドル。米WTI先物1月限は0.02ドル安の68.59ドル。

11月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退。高金利が続けば原油消費の重しとなる。 もっと見る

また、ANZのアナリストによると、ロシアの原油輸出量は週平均で7月以来の高水準に達した。供給過剰へのさらなる懸念につながる材料で、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国でつくるOPECプラスによる減産合意に対する疑念も強まった。

米エネルギー情報局は、2023年の供給量見通しを前回から日量30万バレル増の1293万バレルに引き上げた。 もっと見る

CMCマーケッツのアナリスト、ティナ・テン氏は12─13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が市場の方向性を決定するとし、FRBが予想よりタカ派的姿勢を示せば原油のさらなる下落を招く可能性があるとした。

※関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください

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